2011年7月31日日曜日

鴨太郎の一日

『鴨太郎の一日』

ようこ( ̄ー ̄)v


 俺、カルガモの鴨太郎。
俺の居住地は茨城県の千波湖の畔にある公
園なんだ。
 毎日、沢山の人間が来るんだよ。 
千波湖の周りは、人間達が走り回ってるん
だ。なんでも、ジョギングって言うらしいけ
どね。人間は千波湖の周りを、なんで走って
るのか、鴨の俺にはわかんない。
 人間たちが走りまわってる、その外側は人
間が操縦する乗り物が、走ってるんだ。
 俺の居る公園は、その千波湖の周りを走る
道路を隔てた向かい側にあるのさ。

 俺はこの公園が気に入ってるんだ。池の水
は綺麗だし、芝生には俺の好物の虫や草が生
えてるしね。
 
 一方、千波湖の方はどうかって言うと、水
質は茶色でね。お世辞にも綺麗って言えない
んだな、これが。
 だけど、時には広い千波湖で、伸び伸びと
泳ぎたい時も有るってもんだろ。


 それで、千波湖へ行く時もあるんだけどさ。
これが、危ないんだ。
 歩いて、道路を横断しようものなら、いつ、
人間の操縦する乗り物の餌食にされるか分っ
たもんじゃない。先日も仲間の鴨次郎が、歩
いて道路を渡ろうとしたら、そいつに踏み潰
されそうになったって言うんだ。危機一髪、
災難は免れたらしいけどね。
 そんな訳で、千波湖へ渡る時は、空を飛んで、
一気に道路を飛び越えるんだ。

 
 ま、こんな話はいいとして。
 ここ数日、大雨が続いてね。嫌な天気だね。
今日は、久々に晴れて、日差しも強くてね。
暑かった。こんな日は池に入って、のんび
りとしているのが一番。
 と、そこへ人間が近づいて来た。
ま、いつもの人間だよ。人間の小さいのは
苦手でね。俺たちを追い回す事があるのさ。
 だけど、人間の大きいのは大丈夫さ。
 池から上がって、芝生の上に座っていたん
だ。すると、大きい人間が近づいて来てね。
何か、手に持ってる。俺に何か食べ物をくれ
るのか?いや、そうじゃないらしい。そいつ
を手にかざして、俺に向けてる。一メートル
手前まで、近づいて来た。



 俺は人間を無視して、芝生の上に座ってい
ると、更に少しづつ近づいてくる。
もう、50センチ手前くらいまで、近づい
て来た。手に持った物を俺にかざしてる。
 (おいおい。そんなに俺に近づくんじゃねー
よ。食べ物をくれるんなら別だけど)
 人間が、うざいので、俺は、その場を退散
した。
 (ちぇっ。せっかく寛いでいたのに、人間に
邪魔された。もう、俺を追ってくるなよ)
 俺は、その場を離れた。 あれ?人間は
まだ、俺を追ってくるよ。勘弁してくれよ。
 今度来るときは、何か食べ物を持って来いよ。
俺は歩く速度を早めて人間から遠ざかった。


                おわり。

2011年7月23日土曜日

『手鏡』

    『手鏡』

           ようこ( ̄ー ̄)v

 近所にリサイクルショップが開店しました。
今日は、学校の帰りに、お友達と、そのお店
に寄ってみることにしました。
 「ねえねえ。これ見て、かわいいでしょ」
雑貨コーナーを見ていた、お友達の美子が、
熊のプーさんを型どった貯金箱を手に取って、
私に見せます。「うん。かわいいね」と相槌
を打ちながら近くのコーナーを見ると、アン
ティーク調の手鏡が目に入りました。
 その手鏡の背面にはバラを型どった模様が
描かれていました。私は妙に、その手鏡に惹
かれました。手に取って、しげしげと見つめ
ていると、美子が言いました。
「何?その古臭い手鏡は?」
「うん。なんか、妙に惹かれるのよね」する
と美子は気が知れないといった様子で、「え
えー?何処がー?!」と言いながら、他のコー
ナーへ行ってしまいました。
 手鏡は、お小遣いで買える値段でした。私
は、この手鏡を購入することにしました。
 店を出ると、美子が、「ようこ、あの手鏡
買ったの?」と、呆れ顔で、私に訪ねました。
 「うん。素敵でしょ」手鏡を包から出して、
美子に見せました。美子は手鏡を手に取ると、
「これがねー?」と言いながら、私に返しま
した。
 友達と分かれ、家に帰り、部屋で手鏡を出
して、見ました。見れば見るほど、素敵な手
鏡に思えてきました。
 (もしかしたら、この手鏡は魔法の鏡か
も?)と不意に思えてきました。鏡の中には、
いつもの、代わり映えのしない、私の顔が写
っています。(明日の運勢を占ってみようか
しら?)
「鏡よ鏡。明日の運勢はどうかしら?何かい
い事が起こる?」と、鏡に向かって、言って
みました。
 一瞬、鏡が曇って、私の顔が悲しそう顔に
見えました。(あれ?こんな顔したっけ?)       
パチクリと瞬きをして、鏡を見ると、普段ど
おりの私の顔です。
 「ご飯ですよー」と、お母さんの声が部屋
の外から聞こえてきます。妙に違和感を覚え
つつ、手鏡を置いて、部屋を出ると、もう、
その事は忘れていました。
 翌日、晩ご飯の食卓で、お父さんが、「今
日、会社で先日の健康診断の結果を渡されて
ね。どうも、胃に陰りが写っているようなん
だ。再検査に成ってしまったよ。ガンでなけ
れば良いが」と、お母さんに言いました。
 お母さんも私も、とても心配になり、その
日の晩ご飯は、少しも美味しくありませんで
した。
 食事を終えて、部屋に戻ると、あの手鏡を
取り出して、聴いてみました。
 「鏡よ鏡。お父さんのお腹は大丈夫な
の?」すると、また、鏡は一瞬曇り、私の顔
は笑顔になっていました。
 (あれ?こんな時に笑顔なんて出来ない
よ? この鏡、おかしい?!私、笑った憶えな
いわ)と思いながら、良く鏡を見てみると、
怪訝そうな顔をした、私が写っています。
 数日して、お父さんの精密検査の結果が判
りました。良性のポリープだったそうで、胃
カメラで、その場で切除したそうです。
 お父さんが、なんとも無くて良かった。
 もしかして、あの手鏡は数日後の事が予測
できる魔法の鏡かも?
 今度は、もっと大事な事を占ってみよう。
 数日後にバレンタインが控えています。吹
奏楽部の部活動で、いつもお世話になってい
る、憧れの山本先輩にチョコを渡そうか、止
めようか、ここ数日、思い悩んでいます。
 手鏡に占って貰いましょう。
 「鏡よ鏡。山本先輩にチョコを渡しても、
大丈夫?」
 すると、また、鏡は一瞬曇って、私の泣い
ている顔が写りました。
 「やだ!何これ?」私は気味が悪くなって、
鏡をベッドに頬り投げてしまいました。
 泣いている顔が写ったという事は、私は山
本先輩にフラれるんだわ。やっぱり、山本先
輩にチョコを渡すのは止めようと思いました。
 
 今日は、バレンタインデー。
 そして、授業も終わり、部活の時間になり
ました。
 先日の鏡の結果が怖くて、山本先輩にチョ
コを渡そうか、止めようか、躊躇していまし
た。そうこうして居ると、山本先輩が、私に
声を掛けてきました。
 「ようこちゃん、ちょっと、いいかな?部
活が終わったら、調理室に来てくれない?渡
したい物があるんだ」と、照れくさそうに、
後頭部を掻いています。「はい。判りまし
た」と返事はしたけど、私の心臓はドクンド
クンと脈を打って、破れんばかりです。
 部活が終わって、調理室に行ってみると、
山本先輩が待っていました。
 「はい。これ」と言って、先輩がリボンの
付いた赤い包を私に差し出しました。
 (もしかして、チョコレート?逆チョ
コ?)包を受け取った私は、嬉しさのあまり、
泣いてしまいました。
 山本先輩は、そんな私を見て、慌てて、
「ようこちゃん、どうしたの?泣かないで
よ」と、心配そうに、気お使ってくれます。
 「先輩、ありがとうございます。私、嬉し
くて……」その日は、山本先輩と一緒に、家
族の事とか、部活の事とか、いろんな事を話
しながら、帰りました。
 先日占った時の、あの、鏡に写っていた私
の泣き顔は、嬉し泣きの顔だったのでした。
 それからというもの、私は肌身離さず、手
鏡を持ち、何をするにも、まず、手鏡で占っ
てから、行動するように成りました。
 ベッドから起き上がると、朝一番で、いつ
もの様に手鏡で占ってみようと、鏡をかざし
てみました。「鏡よ鏡。……」
 今日は、鏡が反応しません。
(あれ?どうしたのかしら?鏡の力が無くな
ったの?)何時も何時も鏡の力に頼っていた
為、とても不安になりました。授業中も勉強
に身が入りません。鏡は家に置いて来ました。
 と、そこへ、大地震が襲って来ました。初
めは、いつもの地震かと思っていたら、だん
だん大きくなり、今までに経験した事の無い
揺れが、教室を襲いました。机の下に身を隠
し、揺れが収まるのを待ちました。とても長
い間揺れていました。揺れが少し収まると、
私達は校庭に避難しました。
 間もなく、全校生徒は帰宅するように指示
が出ました。
 家に帰ってみると、お母さんが、家の片付
けをしていました。家の中は物が散乱し、惨
憺たる有様でした。でも、お母さんが無事で
良かった。
 二階の自分の部屋に入ってみると、やはり、
物が棚から落ちて、散乱していました。あの
手鏡も落下して、鏡が割れていました。
 (そうか。これが原因で、鏡は反応しなか
ったんだわ)そう、納得すると、何かが、心
の中で吹っ切れたような気がしました。
 後から、良く考えてみると、鏡が占ってく
れたのでは無く、総ては自分自身の心の弱さ
から来た、思い込みなのだと思えて来ました。
 震災前と後では、良かれ、悪しかれ、人々
の心は確実に変わりました。
 これからは、強く生きなければと、思うこ
の頃です。

             おわり。

2011年7月22日金曜日

『田舎のバス』

    『田舎のバス』

           ようこ( ̄ー ̄)v

 田舎のバス。なんとなく、風情があって、
楽しそうな雰囲気がしますよね。
 子供の頃は塾通いで、よくバスを利用しま
した。ある雨の日の夜、バス停でいつものよ
うにバスを待っていました。
 バスに乗ると、乗客は誰もいません。
 そう。乗客は私一人なのです。バスの広い
空間にポツンと乗客は私一人。田舎の為、道
路の外には街頭などありません。全くの闇で
す。
 途中、バスの停留所には誰もいません。
 バスは私一人を乗せて、闇の中を只ひたす
ら疾走します。
 バスの中には運転手さんと乗客の私一人の
み。運転手さんは一言も喋りません。黙々と
運転します。
 窓の外の景色は漆黒の闇。
 ふと、このバスは、このまま、私の与り知
らない遠い所へ行ってしまうのではないかと
いう思いに囚われます。
 バスの走る軋み音と、雨の音。静まり返っ
た車内。このまま、不気味な時間が永遠に続
くのかという思いに囚われます。
 (もしかしたら、このバスは霊界へ通じる
霊柩車?このまま、私は霊界へ連れ去られて
しまうの?)
 相変わらず、運転手さんは一言も喋りませ
ん。バスはしばらく、私一人を乗せて走って
います。
 私一人を乗せた状態は、時間にして、数十
分の事だったのかも知れません。しかし、私
には永遠の時間に思われました。
 しばらく走っていると、ようやく、バス停
留所に待っている人が現れました。バスは停
車し、お客さんを載せました。
 (良かった、このバスは霊界バスじゃなか
ったわ)
 やっと、安心しました。
 
              おわり

2011年7月18日月曜日

『鴨の親子』

『鴨の親子』

            ようこ( ̄ー ̄)v

 ここは水の都。茨城県は水戸にある千波湖
の畔にある公園です。
 私達、鴨族はこの公園を寝城にしています。
お隣りには、白鳥族もいます。その他、湖畔
には、カモメ族など、いろいろな水鳥がいま
す。
 今日は天気も良いので、生まれて間もない、
子供達3匹を連れて公園の川に沿って、歩い
てみますかね。
「母ちゃん、お腹すいた」まだ、歩いて5分
と経たないのに、年長の鴨一が不貞腐れた様
子で言いました。
「あたしも」「あたしも、お腹すいた」と子
供達は言いながら、歩こうとしません。
 湖畔の畔にある餌場に行けば、ご飯は食べ
られます。しかし、まだ、ご飯の時間ではあ
りません。
「我慢しなさい。まだ、お昼には成りません
よ」
「やだ。お腹すいたー」子供達は駄々をこね
て歩こうとしません。
 ここで、甘やかしては、子供達のためには
なりません。
「だめです。さー、歩きなさい」
 子供たちは一歩も歩きません。
 そうこうしていると、向こうの方から、人
間が近づいて来ました。
(丁度良かった。人間が何か、食べ物をくれ
るかも知れないわ)
 お母さん鴨は期待して待っていると、人間
は私達の一メートル手前で止まりました。
しばらく待ってみたけど、人間は食べ物を
くれる様子がありません。
(なんだ。見物か。あたし達は見世物じゃな
いのよ)
「さ。行くわよ」私は子供たちにそう言うと、
細く流れている川に、入りました。私に続い
て、3匹の小鴨達も、ぞろぞろと川に入りま
した。
 人間はずっと、私達を見ています。
(嫌ねー)私は、川をスイスイと泳ぎ、川の
橋の下に隠れました。続いて、小鴨達も私に
続いて、橋の下に隠れました。
 まだ、人間は私達を見ています。しばらく、
橋の袂に隠れていると、人間は諦めたのか、
向こうへ行ってしまいました。
「食べ物をくれる良い人間もいるけど、私達
に危害を加える悪い人間もいるから、人間を
見たら、気をつけるのですよ」まだ、生まれ
て間もない子供たちに、人間の事を教えまし
た。「はーい」小鴨達は元気良く返事をしま
した。 
 さてと、お昼の時間になったし、餌場に行
ってご飯にしましょう。

                おわり。

2010年5月5日水曜日

ターミネーターリング クロニクルズ

   「ターミネーターリング クロニク
ルズ」
ようこ( ̄ー ̄)v

ダダンダン ダダンダンダンダン!!
ダダンダン ダダンダンダンダン!!

『ようこ殺人計画』がことごとく失敗に終
わり、スカイネットは焦っていた。
どうすれば、ようこを確実に殺せるか?次
なるスカイネットの作戦は、2010年のよ
うこへ、3Dテレビを送りつけ、。そのテレビ
を媒介にしてタイムトンネルを作り、そこへ
刺客のターミネーターを送る事にした。

ピンポーン。ピンポーン。
「あら?誰かしら?」
ようこは玄関口のチャイムに呼び出され、
出てみると、宅配のお兄さんが大きな荷物を
持って立っていた。
宅配のお兄さんはテレビを玄関口に置くと、
「ここへ、サインして下さい」と、伝票を差
し出した。
(え?こんな物、注文した憶えはないわ?
何かの間違いかしら?)と思いながら、テレ
ビを受け取ると、確かに、宛先は私になって
いた。ダンボール箱を開けてみると、中に封
筒が入っていた。
「ようこ様。おめでとうございます。あなた
はスカイネット懸賞に当選しました。つきま
しては、27型3Dテレビ『ビエロ』と、3
Dブルーレイディスク『タミちゃんリング』
をお送り致します。今後もスカイネットを御
引き立ての程、よろしく御願い申し上げま
す」
(こんな懸賞、応募した覚えは無いけど、タ
ダで貰えるなら、まあいいか)と思って、テ
レビを箱から出してみた。ブルーレイディス
クまで付いている。3Dのソフトはまだ発売
していないはずだけど、試供品かな?と思っ
て見てみると、案の上、試供品みたいだ。
リングのパロディ版のようだ。
3Dテレビは3Dブルーレイプレーヤーと一
体型になっていた。
(すごい物、貰っちゃった)と喜び、早速、
電源を入れて見た。
同梱されているメガネを掛けて、ディスク
を入れて見た。
「すごい……」3Dの迫力に圧倒され、思わ
ず呟いた。内容はといえば、どうもリングの
ストーリーと似ている。後半のシーンになっ
て、いよいよあの、名場面、貞子が井戸から
出てくるシーンになった。
しかし、井戸から出て来たのは、あのター
ミネーターのロボットだった。そのロボット
は、今にもテレビから抜け出てきそうだ。
「きゃー!?怖い!!」ようこは思わず、テレビ
の線をコンセントから抜いてしまった。
「プツン」と音がして、テレビは真っ暗にな
った。
何か嫌なものを感じたようこは、テレビと
ソフトをネットオークションに出してしまっ
た。結構な値段で売れた。

またもスカイネットの企みは失敗に終わっ
た。やはり歴史は変えられない。スカイネッ
トがウイルスに侵されるのも時間の問題のよ
うだ。
ダダンダン ダダンダンダンダン!!
ダダンダン ダダンダンダンダン!!

おわり。

2010年5月4日火曜日

帰って来た隣のターミネーター  クロニクルズ

    「帰って来た隣のターミネーター 
クロニクルズ」
ようこ( ̄ー ̄)v

ダダンダン ダダンダンダンダン!!
ダダンダン ダダンダンダンダン!!
悪夢の電車内での鼻ク○事件から、早二年。
ようこはターミネーターと遭遇していなか
った。ターミネーターの事はすっかり忘れて
いた。
いつもの様に、ようこは通勤帰りの電車の
中で文庫本を読んでいた。
なにげに顔を上げて、向かいの席を見ると、
40代半ばのオヤジがフライドポテトを食べ
ている。(隣の席の人は迷惑だろうなあー)
と思いながら本を読んでいると、今度は携帯
をとり出して、大声で話している。
(何なの、あのオヤジ)と思いながら、本を
読んでいると、下車駅に着いたので、電車を
降りた。
向かいのオヤジも降りて、私の後をついて
くる。
駅から、暫く歩いて後ろを振り向いたら、
あのオヤジが、後方10メートルくらいの所
にいた。  
周りに歩いている人は無く、私と、後方を
歩くオヤジのみだ。私はだんだん怖くなって、
歩くスピードを速めた。後ろを振り向くと、
相変わらず、オヤジがついて来る。
(間違い無い!あのオヤジ、私をつけてる!?
ストーカーかしら?変質者?)
私は怖くなって、走り出した。
後ろを見ると、オヤジも駆け出した。
私は全速力で駆けた。駅の近くの駐車場に
停めている自家用車の中へ滑り込み、エンジ
ンをかけようとすると、追い着いたオヤジは
運転席側の車のウィンドーをトントンと叩い
た。
私は「キャー!?」っと悲鳴を上げ、エンジ
ンキーを回した。【ブオン】とエンジンがか
かった。オヤジは今度は激しく、ウィンドー
を叩く。私は車を急発進させた。
尚もオヤジは車を追いかけてくる。
「何なのよー!!」車はスピードを上げ、時速
70キロを超えている。が、しかし、オヤジ
は車の後方にピタッと就きながら走っている。
「人間じゃない?!」恐ろしくなり、急ブレー
キを踏んだ。オヤジは急ブレーキの車のバン
パーに当たり、体が宙を舞った。
膝をがくがくしながら、車から降りて、道
路に倒れているオヤジを見た。助けを呼ぼう
にも、周りには誰もいない。
不思議な事にオヤジは血を流していなかっ
た。しかし、服の袖から、何か蒸気のような
物をシュウシュウ出している。
やがて、オヤジはシュウシュウと煙のよう
な物を上げ始めた。その量がだんだん多くな
ってくる。いまや、周りはモクモクと煙に覆
われ、周りの視界も判然としなくなってきた。
目をこらして、オヤジの倒れていた付近を
見ると、オヤジが居ない。そこには、オヤジ
が着ていた服のみが残っていた。
ようこは悪い夢でも見ているのかと思って、
頬をつねってみたけど、頬が痛い。紛れも無
い現実だった。
現実は小説よりも奇なり。
ようこはフラフラとしながら、凹んだバン
パーを見て、(この車の修理代は幾らかし
ら?)と考えていた。


スカイネットが送りこんだ刺客はまたも失
敗した。このままでは、ウイルスが発生して
しまう。スカイネットは焦っていた。
ダダンダン ダダンダンダンダン!!
ダダンダン ダダンダンダンダン!!


あとがき
この物語はセカンドライフのお友達のミン
さんが、リアルライフで遭った出来事を元に
再構成しました。お話を使わせて頂きました。  
ミンさん、ありがとうございました。

おわり。

2010年5月1日土曜日

隣のターミネーター クロニクル ズ

「隣のターミネーター クロニクル
ズ」
ようこ( ̄ー ̄)v

ダダンダン ダダンダンダンダン!!
ダダンダン ダダンダンダンダン!!
(ターミネーターのテーマ曲で)
西暦2027年 人口知能が支配する社会。
ここは、とあるサイボーグ生産工場の一室で
ある。
一体のサイボーグが手術台の上で寝ている。
その手術台には無数の機械の触手が伸び、
寝ているサイボーグの頭脳の辺りを修理して
いた。


人工知能スカイネットは西暦2010年の
日本へ刺客のサイボーグを送りこんだ。
その目的は、とある日本人の女を殺す事だ
った。標的の女の名は「ようこ」。
2010年の時点の「ようこ」はごくごく
平凡な普通のプログラマーにすぎない。なぜ、
スカイネットは、ようこに刺客を送ったか?
それは、ようこが作った業務プログラムの
一部のバグが、後のスカイネットにとっては、
致命的なウイルスとなって作用する事が判明
したからだ。
このウイルスに感染したスカイネットは致
命傷を帯び、その機能の大半を麻痺させた。
そこで、スカイネットはこのウイルスの発
生源である日本に刺客を送り、ウイルスの発
生源を絶つことを決定した。
ターミネーターに課せられた使命は、「2
010年日本在住、プログラマー『ようこ』
を抹殺せよ」

ターミネーターは、「ようこ」が通勤に使
用しているであろう、電車の車両に乗り、タ
ーゲットを待った。
ターゲットが隣に座っても、ターミネータ
ーは気づかなかった。しきりに鼻をほじって
いる。
とうとう、ターミネーターは、その任務を
遂行することが出来ず、タイムリミットと成
り、西暦2027年へ戻って行った。

スカイネットは任務を遂行することが出来
ずに戻ってきたアンドロイドの頭脳からログ
を取り出し、その詳細を調べた。
全てのアンドロイドはスカイネットの制御
下にあってアンテナ線が5本立っていた。し
かし、時空を超えて任務に就いているアンド
ロイドへは、そのアンテナ線が一本も立たな
い。スタンドアロンで動かなくてはならない。
ログを調べると、ターゲットが横に座って
いるにも関わらず、このアンドロイドは鼻を
ほじってばかりだ。完全に生産不良品だ。チ
ップのどこかが逝かれているに違いない。
スカイネットは次なるバージョンのアンド
ロイドを2010年に送る事を決定した。
ダダンダン ダダンダンダンダン!!
ダダンダン ダダンダンダンダン!!

おわり。

2010年4月24日土曜日

隣のターミネーター

    隣のターミネーター
           ようこ( ̄ー ̄)v

 世の中には居るんですね、ターミネーター
が。
 通勤電車でのこと、いつものように電車の
ドア付近のシートに座りました。
 私は、通勤電車の中で読書をするのが、朝
の小さな楽しみの一つです。
 シートに座ると、私は早速、鞄の中から文
庫本を取り出し、読書に集中しました。
 すると、隣の男が、ごそごそと鞄の中から
携帯を取り出し、見ています。
 私の横に座っているその男は、年の頃は二
十代前半で、服装は私服の学生風で、メガネ
をしている小太りの、おたく風男です。
 此処までは普通の光景なんですが、隣の男
は携帯を見ながら、人差し指を立て、それを
おもむろに自分の鼻の中へ持っていきました。
(きゃっ!やだ!?汚い!何してんの?)
 私は見て見ぬふりをしながら、文庫本から
目をそらし、男を見てみると、男は公衆の面
前で平然と人差し指を鼻の中へ入れ、ぐりん
ぐりんと回しています。
(やだー。早く止めてよー)
 私は、その男の隣に座っていて、気が気で
はありません。
 私の願いも空しく、男は携帯を見ながら、
指のぐりんぐりんをいっこうに止めようとし
ません。
 鼻から抜いた手の親指と人差し指で、物を
丸め、弾丸を作り、それをシートの下に落と
しています。
(こいつ。きっと、異星人だわ。ロボットか
も知れない。そうだ!ターミネーターだわ)
 私は隣の男をターミネーターと決め付けま
した。
 ターミネーターは携帯を見ながら、その作
業を延々と続けています。ターミネーターが
放つ弾丸に当たったら、私は死んでしまいま
す。
 私は心の中で、弾丸が私に当たりませんよ
うにと、祈りながら本を読んでいます。
「まもなく、○○駅。○○駅」車内の放送が
あると、ターミネーターは先に電車を降りて
いきました。男はシートを立ち上がる時に、
「I’ll be back.」と言ったかどうかは定かではあり
ません。私は、内心ほっとしました。朝から、
気分が悪いものを見てしまいました。
 その時は、後日、再びターミネーターにあ
いまみえるとは夢想だにしませんでした。

 数日して、ターミネーターのことはすっか
り忘れていました。ところが、私は再び、あ
のターミネーターに会ってしまったのです。
 私は電車の入り口付近の席に座ろうとして
いると、突然、おじさんが、立ち上がって、
空いている向かいの席に座り直しました。
(?なんで、わざわざ、向かいの席に座り直
すんだろう?)と思いながら、おじさんが座
っていた、その空いた席に座ると、隣の男が
鼻をほじっているではありませんか!?
そうです、隣の男は、あのターミネーター
だったのです。
(わー!?最悪。隣の男は、ターミネーターだ
わ!)
 他に空いている席も無いので私は仕方なく、
その席に座っていました。
 ターミネーターの席の前のつり革に掴まっ
て、立つ人は居ません。人々はターミネータ
ーが放つ弾丸を避けているのでしょう。
 前回と同じ駅でターミネーターは降りてい
きました。
 これに懲りた私は、あの電車の何輌目のド
ア横のあの席はターミネーターの指定席だと
解ったので、二度と近寄らないようにしてい
ます。

             おわり。

2009年9月23日水曜日

霊感修学旅行(8)最終回

 
 床几に座っていた鳥居元忠が、ゆっくりと
立ち上がりました。
「皆の者。親方様の会津討伐の後方を三成に
攻められてはならじと、ここまで防いできた
が、もはやこれ迄。甲賀衆の裏切りにより、
廓に火が放たれた。
 三成軍は、内堀のすぐそこ迄来ている。
 もはや、城が落ちるのは、ときの問題じゃ。
 城に残った者、僅か、三百余名。生き恥を
晒すより、死して、親方様の御報恩に報いよ
うぞ。
 あの笑止千万な治部少輔めに、三河武士の
意地を見せてやろうぞ!」
 元忠は右手の拳を挙げて、えいえいおうっ
と気勢を上げました。
 それに呼応するように臣下の者たちも立ち
上がり、拳を挙げて気勢を放っています。
 茫然自失で、その様子を私達は見ていまし
た。すると、私達をひっ捕らえてきた、脇の
侍がすっと、腰の刀を抜きました。
「おぬし達も観念せい!このわしが成仏させ
てやるわ!」そういうと、私達、四人めがけ
て切りつけて来ました。この時、夏子は侍に
向けて、カメラのフラッシュを焚きました。
「わぁ!」切りつけて来た侍と、背後の侍達
が怯みました。
「今よ!逃げるのよ!」夏子は脱兎のごとく、
廊下を走り出しました。残る私達も夏子の後
に続いて、走りました。
「おのれ!面妖な!待て!」武士達が後方で
騒いでいます。
 こう見えても、私達四人は陸上部なのです。
足には自信があります。
 重い鎧甲冑を着ている侍達が、私達に追い
ついてこれるはずもありません。
 走って本丸を出ると、間もなく外壁が見え
て来ました。
 外壁の周りと入場門の周りは三成軍しかい
ません。
 私達は、この混乱の中、身を隠すようにし
て、門の出口まで来ました。
「どうしよう。あそこに人がいっぱい居るよ
う。あそこを通らないと、出られないよ~」
 幸江は泣きそうな顔でみんなを見ています。
「何とかして、ここを脱出するのよ」
 由美子は悔しそうに唇を噛み、何か思案し
ています。
「本丸からやっと、此処まで来たけど、この
先、更に二の丸、三の丸と抜けて行かないと、
ここから出られないわ」夏子が、もう無理、
と言った様子で、うな垂れました。
「ちょっと、待って。私達、外に出ようとし
ているけど、そもそも、私達の元居た場所は、
あの和室よ!和室に戻りましょう。あそこが
時空の穴になっているのよ」
 私はSF小説で読んだ、《時をかける少
年》を思い出しました。
「あそこに、時空の歪みがあるのよ。あの場
所に戻りましょう。元の世界に戻れるかもし
れないわ」
 このままでは、何万といる、三成軍をかわ
して、城の外に出る事は不可能だと解った私
達は、再び、あの和室に戻ることにしました。
 和室に戻ってみると、城内は静まり返って
いました。もう既に、元忠達は自刃してしま
ったのか?間もなく、ここにも、三成軍が押
し寄せてくるはずです。
 和室には誰もいません。私達四人は手を取
り合って、和室に入りました。すると、あの
興聖寺の竜宮城のような門を潜った時の眩暈
のような感覚に、再び襲われました。
 ふと、気づくと、私達四人は興聖寺の門の
所に佇んでいました。
「戻れたわ!」私が言うと、みんな、手に手
を取り合って、喜びました。幸江は泣きなが
ら、良かったね。よかったね。と、みんなに
抱きついています。
 腕時計を見ると、あれから、三時間程経過
しています。
「いけない!早く戻らないと、先生に怒られ
る!」
 急いで、宇治駅まで戻りました。もう、甘
味処に行っている時間も余裕もありません。
 京都駅までの電車の中で、私達は先ほどの
不思議な体験を思い出して、夢遊病患者のよ
うにぼーっと座席に座っていました。
 この時、知らない人が私達を見たら、若年
認知症の集団だと思ったことでしょう。
 なんとか、門限の時間までに間に合いそう
です。京都駅に着いた私達は、宿までの道す
がら、今日あった事は誰にも話さないで置こ
うと言いました。
 こんな話を誰かに話したら、集団ヒステリ
ーだとか、誇大妄想狂だとか思われるのが落
ちです。下手したら、私達四人は精神病院に
入れられてしまいます。そんなのは勘弁です。
 宿に着いた私達は、疲れがどっと出て来て、
何事も無かったように振舞うのがやっとでし
た。
 後は、鳥居元忠の亡霊が、再び私達のもと
へ出て来ない事を、拙に祈るばかりです。


             おわり。

霊感修学旅行(7)

 私達は、和室の外の様子を恐る恐る、見ま
した。
 石田三成軍は内堀のすぐ近くまで来ている
様子です。
「ここは、伏見城の本丸だわ!」こんな事態
なのに、歴史おたくの夏子は目を爛々と輝か
せて喋りだしました。
「伏見城は豊臣秀吉が築いた、巨郭よ。その
守りは堅固で、難攻不落の城なのよ。
 城を守るのは鳥居元忠。その兵力、僅かに
千八百人。対する石田三成軍は総勢四万人よ。
その結果は火を見るより明らかだわ。
 でも、元忠はここを10日以上も持ち支え
たのよ。
 敵は外ばかりではなく、内部にもいたの。
それが、伏見城内にいた甲賀衆よ。
 甲賀衆は外に残して来た妻子を捕らえられ、
内通しなければ、妻子を皆殺しにすると、脅
されたのよ。
 内通した甲賀衆は伏見城内に火事を起こし
たの。
 その為、伏見城の戦いによって、お城はそ
の大半を消失しているわ」
 夏子が一挙に喋ると、みんなは、ふんふん
と頷いているが、それどころじゃない。
「そんなの聴いている場合じゃないわ。私達
の命が危ないのよ。早くここを脱出しなきゃ、
焼け死ぬか、鎧武者に切り殺されるわ!」
「そうね。早く逃げましょう」夏子は現実を、
やっと認識したようです。
 城壁の外の騒がしさに比べて、城内はやけ
に静かでした。
 周りを見回しても、火の手が上がっている
のに、人っ子一人いません。
「これは、きっと、鳥居元忠以下の家臣は大
広間に集まっているに違いないわ」
 夏子は深刻な表情でいいました。
「え?!それじゃー、自殺の為に……」
 私の脳裏に、あの血天井の夥しい血の跡が
蘇えりました。
 とんでも無い場面に遭遇したものです。
 四人とも、一様に膝が、がくがくと震えて
います。
 と、そこへ、どやどやと、三~四人の武者
が私達の方へ駆けて来ました。
「お主達は何者だ!おのれ!裏切り者の甲賀
衆か!?」先頭の男が言いました。
「ち、違います!」私が言っても、その男は
聞く耳を持ちません。目が血走っています。
「この女子共をひっ捕らえよ!大広間に連れ
ていくのだ!」男の言いなりに、私達は大広
間へ連れて行かれました。
 大広間に着いてみると、そこには夥しい人
数の城内の侍達が集まっていました。その数
は、約三百名程。中には女子供も何人かいま
す。
 昨夜見た、総大将の鳥居元忠以下、家臣の
大将達が上座に並んで、甲冑のまま、椅子に
座っています。
(やばい!非常にやばい!これは、今まさに、
自刃しようとする直前の現場だわ!)
 みんなも同じ気持ちか、皆それぞれ、その
目は怯えています。
 
 
             つづく

2009年9月22日火曜日

霊感修学旅行(6)

 朝、目覚めると、私は、布団の中で眠って
いました。
 周りにクラスメートの由美子や、みんなも
寝ています。
(良かった。あれは、夢だったんだ)
 目が醒めて、牢屋の中じゃなかった事に、
心底、安心しました。
 それにしても、妙にリアルな夢でした。
 夜中に起きた時に聞いた、誰かが歩く音は
鎧武者が歩く音と同じでした。昨夜の夢と、
何か関係がありそうです。

 旅館の食堂で、朝食を食べながら、昨夜の
事を由美子や夏子、幸江に話しました。
「昨夜ね。廊下で重い足音がしたんだけど。
あれは、絶対、鎧武者の足音よ。間違いない。
私、あの後、変な夢を見たのよ」
「ようこに起こされて、トイレに付き合った
んだけど。何も聞こえないし、誰もいなかっ
たわよ。ようこ、寝ぼけていたんじゃない
の?」由美子は私をからかうように言いなが
ら、手前のたくあんを、お箸につまむと、ポ
リポリと音をたてて食べています。
「本当だって!あの後、すぐ寝たでしょ。そ
れで、私、変な夢を見たのよ。妙にリアルな
夢だったわ」
「変な夢って、どんな夢?」味噌汁をすすり
ながら、幸江がおっとりした様子で聞きまし
た。
「それがね。私は、和室のある一室にいるの。
鎧甲冑を着た、戦国武将がどやどやと廊下を
走ってくるのよ。その大将が鳥居元忠で、私
は危うく、刀で切られるところだったの。そ
れで、牢屋に入れられちゃったのよ」
 ここまで、一気に言うと、みんなは笑いだ
しました。
「あはは。ようこ。その夢、面白い」
 夏子は可笑しくてしょうがないといった様
子で、テーブルを叩いています。
「笑い事じゃーないのよ。妙にリアルだった
んだから。もしかしたら、私、タイムスリッ
プしたのかも?」
「そんな訳ないじゃん。あはは」夏子は腹の
皮が捩れるーといって、お腹を抱えて笑って
います。
「本当だってばー」私が真面目に言えばいう
程、みんなは笑います。
「もういいよ!信じて貰えなくても!」私が
頬をぷーっと膨らませていうと、みんなの笑
いはやっと止まりました。
「ようこ。思い入れが激しいから、そんな夢
見るんだよ。もっと、気楽に行こうよ」と由
美子は私の横で、肩をポンと叩きました。
「今日さぁ~。興聖寺に行くの、よそうよ。
宇治の甘味処だけ、行こうよ~」
 私がいうと、夏子はとんでもないという様
子で、「だめ!最後のコースなんだから、絶
対、見なくちゃ、だめよ」と、お箸を持った
まま、手を横に振っています。
「どうなっても、知らないから!」私は怒っ
ていうと、みんなは、まじ?という様子で私
を見ました。
「大丈夫よ。何も起きないわよ。最後の日程
なんだから、気楽に行こうよ。ね?」
 由美子が私をなだめると、それ以上、私は
何も言えなくなって、しぶしぶ了承しました。

 朝食を終えた私達四人は、旅館のロビーに
集合すると、今日の日程を確かめました。
 夏子が地図を広げて、興聖寺の場所はここ
よと指し示しました。
 電車で、京都駅から宇治駅まで、三十分程
です。さらに、宇治駅から歩いて、三十分程
の所に興聖寺はあります。コースとしては、
興聖寺に見学に行った後、駅周辺の甘味処に
行く予定です。
「さあ。今日も元気に行ってみよー!」と夏
子は右手の拳を振り上げました。
 私は、何も起きなければ良いがと、気乗り
のしないまま、みんなの後を付いて京都駅ま
で歩いて行きました。

 程なく、宇治駅に着くと、地図を見ながら、
川沿いの道を歩いて、やっとの事で、一行は
興聖寺の入り口の古びた門に着きました。
「夏子、ここ遠いじゃん」幸江はへなへなと
川べりの堤防に寄りかかりました。
「ちょっと、遠いわねえ」夏子も疲れた様子
でいうと、「もう直ぐよ。さぁ。ファイト」
といって、興聖寺の参道を歩いて行きました。
 
 まもなく、竜宮城のような門が見えて来ま
した。そこから、本堂の中に入り、血天井を
見学しました。ここにも、シミのある天井板
に、人間の手の跡や、足の跡が付いています。
 夏子はここでも、パチパチと写真を撮って
います。
 今回は、時間も無いので、早々に本堂を出
て、帰りました。
 帰りに、私達四人で、竜宮城のような門を
くぐる時に、異変を感じました。
 何か目が廻るような感じになって、ふと、
気づくと、私達四人は、見たことのある、和
室の一室に居ました。
「あれ?ここ何処?」夏子はきょとんとして
います。みんなも一様に何が起きたのか解ら
なく、茫然としています。
 ここは、紛れも無い、夢で見た、あの和室
の所です。私は驚きで、一言も喋れません。
 あの悪夢が再び、現実となったのです。し
かも、今回は友達も一緒です。
「あわわわ。ここ。ここよ。私が夢に見たの
は!」私は、必死にみんなに説明しました。
「ええーー!?」由美子も夏子も幸江も、目玉
が飛び出しそうな勢いで驚いています。
「これは夢じゃ無いのよ!現実なのよ!ここ
は鳥居元忠達が自刃した伏見城の中なの
よ!」
「何でそんな事が起きるの!在りえない
わ!」由美子がいうと、「そうよそうよ」と、
他の二人も追随しました。
「とにかく、現実にこうして、起きているん
だから、仕方ないじゃん」私は途方に暮れて
言いました。

 お城の外から、「わぁわぁ」と人の怒号が
聞こえてきます。お城のあちこちで火災が発
生しているようです。
 事態は私が昨夜、見た時よりも更に悪くな
っているようでした。


             つづく

霊感修学旅行(5)

 一日にお寺を三箇所も廻ったので、私は疲
れて、早々に寝てしまいました。
 夜中に、トイレへ行きたくて、目が醒めま
した。普段は朝まで起きないのですが、寝る
前にみんなと話ながら、ジュースをがぶ飲み
したのがいけなかったようです。
 布団から、上半身だけ起き上がると、廊下
の方から、誰かが歩いているような、重い、
軋む音が聞こえました。
 何か、がちゃがちゃとした音も聞こえます。
 昼間の事もあり、怖くなった私は隣で寝て
いる由美子を揺り起こしました。
「ねぇ。由美子~。由美子ってばー」
 由美子は、うーんと唸って、なかなか起き
ようとしません。
「何よー。どうしたの?」やっと、由美子は
目が醒めたようです。
「あのね。廊下の方から音がするの。誰かい
るのかなぁ?」由美子は枕元の腕時計を見て、
「こんな、夜中に誰か起きてるの?」と、目
をこすっています。
「なんかね。重い足音が聞こえたんだけど」
「足音って?」
「うん。なんか、がちゃがちゃと音がして、
誰かが、部屋の外の廊下を歩いている音がし
たんだけど……」
「ええー!? ほんとに?夢でも見たんじゃない
の?」
 ここまで聞いて、やっと、由美子は理解し
たらしい。
「そんな事、無いって。あたし、トイレに行
きたくて、目が醒めたら、聞こえたんだか
ら」と、私がいうと、「ほんとにー?」とい
っている由美子の腕に鳥肌が立っているのが
見えました。
「ねぇ。怖いよー。どうしよー。あたし、ト
イレ行きたいんだけど。由美子、一緒に行こ
うよー」
「しょうが無いわねー。小学生じゃないんだ
から。じゃー、一緒に行ってあげるよ」
 二人は、こわごわと部屋の襖を開けて、部
屋の外の廊下に出てみると、そこには、もち
ろん、誰もいませんでした。
「ほらー。誰もいないじゃん」
「本当に、さっきは音がしたんだってば!」
私は半ば、やけくそ気味に言うと、「はい。
はい。わかりました」と、由美子にはぜん
ぜん取り合って貰えませんでした。
 トイレから部屋に戻ると、由美子も私もす
ぐに布団を被って、また寝てしまいました。
 布団の中で、あの音は何だったのだろう?
と、釈然としない気持ちのまま、再び、眠り
に落ちました。

(あれ?ここは何処?)
 私はいつの間にか、和室の一室にいます。
 周りにはクラスメートが、一人も居ません。
 襖を開け、廊下に出てみると、そこは、泊
まっている旅館の廊下と全然違います。
 廊下の向こうから、どやどやと人の集団が
走ってくるのが見えました。
 それを見た私の心臓は口から飛び出しそう
になりました。
 なんと、その集団は鎧甲冑を着ている武士
の集団でした。
(え!?何?何が起きたの?)
 これは夢だと思いました。しかし、凄くリ
アルな夢なのです。
 武士の集団はどんどん、こちらに近づいて
きます。やがて、武士の集団の先頭を走る男
が、佇んでいる私を発見したようです。
 集団は一旦、立ち止まり、私の出で立ちを
見て、向こうも驚いているようです。
 集団の頭らしき、先頭の男が一人、こちら
に歩いて来ました。
 私は、足ががくがくして、一歩も歩けませ
ん。鎧武者が間近に迫りました。
「そこの女。面妖な。何だ、その、斬ばら髪
は! なんだ、その着物は!敵の間者か!」
 佇んでいる私に向かって、鎧武者は言いま
した。
「あの。あの……」私は言葉が出ません。
「ぬぬ。怪しい奴。このわしが叩き切ってや
る!」鎧武者は腰の刀を抜くと、私に切りつ
けて来ました。
 咄嗟に私は言いました。
「鳥居さん!ごめんなさい!」
「何?なんで、わしの名前を知っている?ま
すます怪しい奴。なんで、わしの名前を知っ
ているんだ?」
 咄嗟に私の口から出た言葉が、鳥居だった
のには、私自身も驚きましたが、向かいの相
手の姓は鳥居だったようです。
(もしかして、前にいる男は鳥居元忠?まさ
かね)
「あのう。鳥居元忠さんですか?」
 私がおずおずと聞くと、「いかにも、拙者
は鳥居元忠だ」と、鎧武者は答えました。
(ええー!?何これ?夢?)
「そちは、何者だ?」と、鳥居元忠が聞くの
で、私は正直に答えました。
「○○高校。三年二組のようこです」
「何?今、なんと言った?益々、面妖な」
(しまった。まずい)
「あ。あたしは桂村のようこです」
 出鱈目をいうと、鳥居元忠はそんな村あっ
たか?という表情で言いました。
「まあ。良い。女こどもを切るのは偲びない
ので、お主は牢屋に入って貰うぞ」そういっ
て、鳥居元忠は部下に命ずると、先に行って
しまいました。
「ああー。ちょっと、待って下さいよー」私
の言葉も空しく、既に鳥居元忠には届かなか
ったようです。
 私は部下に捕まり、牢屋まで連れていかれ、
座敷牢のような処に入れられてしまいました。
(まずい。非常にまずい。ここは戦国時代。
しかも、鳥居元忠が自刃する前の伏見城)
 牢屋に入れられた私は、早く夢から醒めな
いかな、と思いながら、泣きながら寝てしま
いました。


              つづく

2009年9月21日月曜日

霊感修学旅行(4)

 夏子だけは例外で、目を輝かせて、お坊さ
んの説明を聞いていました。
「夏子さぁ~。怖くないの?」
 由美子は呆れた顔で夏子に聞きました。
「ぜんぜん。あたし、これ、ずっと見たかっ
たんだ」
「気が知れないわ」由美子は相手にできない
といった様子で、すたすたと先を歩いて行き
ました。
「ああ。待ってよー。もっと、じっくり見よ
うよー」夏子は由美子の後を追って行きまし
た。
「あ、由美子。私も行くー」
 残された私と幸江も由美子の後を追いまし
た。
 養源院を出た私達は、次の目的地の正伝寺
に向かう予定です。
 しかし、実際に血天井を見てしまい、これ
は実際に在った事なのだと思うと、背筋がぞ
くぞくして、私は気乗りがしませんでした。
「ねえー。次、行くのー?これで止めて、ど
こか、甘い物でも食べに行こうよー」私がい
うと、夏子は手を横に振って、「何言ってる
の?だめだめ。予定通り、全部見るの!学校
にも、予定表、提出してるでしょ」
「だってー。怖いんだもん」
 私は泣きそうな顔でいうと、幸江も由美子
も、うんうんと頷いている。
「何、言ってるの。怖い事なんて、なんも無
いよ。さ、行こう」といって、またもや、先
をずんずんと歩いて行きます。
 門を出て、タクシーを捕まえた私達は、次
の目的地の正伝寺に向かいました。
 
 正伝寺に着いた私達は綺麗な庭園を見た後、
本堂の廊下にある血天井を見学しました。
 やはり、ここの天井にも、赤茶けた、おび
ただしい血のシミ跡が付いています。
「怖いよう。ね、ね。早く行こう」
 私は、熱心に見ている夏子を促して、お堂
を出ました。

 後から解った事なのですが。近年の目覚し
い、血液学の発展によって、ここの天井を分
析した結果、シミは紛れも無く、人間の血液
だと判明したそうです。

「次、行くわよ」夏子がいうと、「ねー、や
っぱ、止めようよー」私は夏子の袖を引っ張
りながら、駄々をこねました。
「今日は、あと一つだから」といって、夏子
はタクシーを呼ぶため、お寺の受付の所に行
ってしまいました。
 程なく、タクシーが来て、今日の最後の源
光庵に向かいました。源光庵は正伝寺から近
い所にあり、7~8分で着きました。
 当然ながら、ここも、お堂の廊下の天井は
血天井です。中には、人間の足跡がくっきり
と付いている箇所もあります。
「ひー。あ、あれ。人間の足跡」私が天井を
指さすと、みんな、一斉にその方向を見まし
た。
「本当だ!?」幸江と由美子はそれを見て、引
いています。
 夏子だけは、平気な顔をして見ています。
 あろうことか、夏子はカメラを取り出して、
写真を撮ろうとしています。
「止めなさいよ。夏子」私が止めると、「何
で?」と惚けた顔をしています。
「なんか、写っていたら、怖いじゃん」
「何が?」
「何がって。心霊写真――」
「あはは。大丈夫よ。そんなの写る訳ないじ
ゃん」夏子は豪快に笑うと、私が止めるのも
聞かず、パチパチと天井の写真を撮りました。

 見学を終わった私達はタクシーを呼び、宿
に近い所で降りて、お蕎麦屋さんで食事をし
ました。
「ねえ。明日も行くの?」私が夏子に聞くと、
当然といった顔で、「当然よ。明日は宇治市
にある興聖寺よ。見学した後、駅の近くの甘
味処に行きましょ。老舗のお店で、抹茶アイ
スとか、宇治金時とかあるのよ」
 他の二人は、宇治の甘味処に行くのは、賛
成だったけど、興聖寺はあまり、気乗りがし
ないようでした。

 宿に戻って、その夜。私は恐ろしい夢を見
ました。


              つづく

2009年9月19日土曜日

霊感修学旅行(3)

       ・・・

 修学旅行の初日、私達三年二組の一行は宿
に着きました。
 翌日は、先生から、宿へは五時までに戻っ
てくるようにと言われ、いよいよ、プラン通
りに行動することになりました。
 宿は京都駅から程近い所にあります。まず
はプランに沿って、一番近い所にある養源院
から見て廻ることになっています。
「じゃー、養源院にレッツゴー!」
 夏子が嬉々として地図を片手に歩き出しま
した。
「ええと。ここの場所はここだから……。こ
っちよ」夏子は大股で肩で風を切って、四人
の先頭に立って歩いて行きます。
「ちょっと待ってよー」
 私達三人は回りをきょろきょろと見回しな
がら、先頭を歩く夏子について行くのがやっ
とでした。
「こっちよ!」三十三間堂前に着いた私達は
夏子の指し示す門の中に入って行きました。
 養源院に着いた私達は、早速、お堂の中に
入り、本堂廊下にある血天井を見学しました。
 天井はシミだらけで、いかにも血の跡のよ
うに見えます。お坊さんが、長い竹竿で、こ
こが頭で、ここが手とか、指し示して、説明
しています。「きゃっ!あそこに人間の手の
跡が!」幸江が口に手を当てて、天井の一角
を指さしています。確かにそこは、人間の手
の跡のように、生々しく見えます。
 夏子から、事前に聞いていた話を思い出す
と、ぞくぞくしました。
 鳥居元忠とその家臣達が私達の背後に居る
ような気がして、思わず私は背後を振り返っ
てしまいました。勿論、そこには、私達の後
ろに続く、観光客しか居ませんが、背筋がぞ
くぞくします。昔から、霊に感応しやすい体
質の私は、この時、ここに来てしまった事を、
少し後悔しました。
 そして、子供の頃を思い出しました。
 あれは、私が幼稚園生の時でした。私の家
は海岸に近い所にありました。近所のお友達
の哲也君が面白い物があるから、見に行こう
というので、家からちょっと離れた所にある
砂丘の所に行きました。
 哲也君は砂丘に着くと、「ここだよ」とい
って、砂丘の一角を指さしました。
 よく見ると、砂場のあちこちの表面に円錐
形の凹みがあります。
「よく見てろよ」と哲也君はいうと、近くを
歩いている蟻を捕まえて、その円錐形へ落と
しました。蟻は一生懸命、円錐形の所から這
い上がろうとしますが、砂が落ちて滑って、
上がれません。すると、円錐形の底の方から、
二本の爪のような物が出てきて、蟻を捕まえ
てしまいました。蟻はもがくけど、がっちり
と捕まえた爪は蟻を逃しません。
 やがて、蟻は砂の中に曳きづり込まれてし
まいました。
 その様子を、驚いて見ている私に、哲也君
は自慢げに「これはな。蟻地獄っていうん
だ」と教えてくれました。
 そして、蟻を捕まえては、蟻地獄に落とし
ました。私も、蟻を捕まえて、落としてみま
した。残酷な気持ちが子供心に沸きました。
 哲也君は円錐形の砂の底から、小さな虫を
ほじり出しました。
「これが、蟻地獄だよ」といって、手の平に
載せて、見せてくれました。3ミリ程の小さ
な虫はお尻を使って、一生懸命、砂の中にも
ぐろうとしていますが、そこは人間の手の平
の上です。潜れません。
「ほれ、ようこも持ってみろ」といって哲也
君は私の手の平に蟻地獄を載せました。
 蟻地獄のお尻が、もぞもぞと手の平をほじ
るので、とても、くすぐったかった思い出が
あります。
 私は「いやっ!?」といって、蟻地獄を放り
ました。 
 その夜、私は恐ろしい夢を見ました。
 蟻と蟻地獄が私の枕元に立って、恨めしそ
うに、私を見ているのです。枕元に立ってい
る蟻と蟻地獄はとても大きいのです。人間の
子供位の大きさがありました。しかも、蟻も
蟻地獄も、どういう訳か、虫のくせに、しっ
かり、二本足で私の枕元に立っているのです。
 私は「蟻さん、蟻地獄さん、ごめんなさ
い」と言って、布団を頭から被って震えてい
ました。少し経って、そっと、布団の中から
顔を出して、枕元を見てみると、そこには、
もう、蟻も蟻地獄も居ませんでした。
 今でも、妙にリアルに思い出されます。
 あれは、虫の霊が出てきたものと、今でも
思っています。
 ふと、我に返って、みんなを見回すと、夏
子を除いて、みんな一様に、気味の悪そうな
顔をしています。
 夏子だけは例外で、目を輝かせて、お坊さん
の説明を聞いていました。
 
              つづく

霊感修学旅行(2)

「血天井っていうのはねぇ。あるお寺さんに
ある天井板の事なの。その天井板には足跡と
か、手の跡とかのシミが付いているのよ」
「なぁんだ、シミか。つまんないの。で、そ
のシミを見に行きたい訳?」由美子が呆れた
ようにいうと、夏子はむっとしたように「そ
れが、普通のシミじゃ無いのよ。このシミは
人間の血で出来たものなの。戦国武将の血
よ」といった。
「へー。なんで、戦国武将の血が天井に付い
ているの?」由美子は興味が沸いてきた様子
でした。
 みんなは興味深そうに夏子の話を聞いた。
「時は戦国時代。豊臣秀吉が天下を統一し、
平和な時代がやって来たように見えたけど、
秀吉の死後、勢力は徳川家康率いる東軍と石
田光成率いる西軍に真っ二つに分れて、関ヶ
原の合戦になった事はみんなも知っているわ
ね」
 夏子がいうと、みんなはうんうんと首を縦
に振った。
「この関ヶ原の合戦の前哨戦になったのが、
『伏見城の戦い』なの。関ヶ原の戦いの直前
に、家康は上杉景勝討伐に向かったの。それ
で、城のお留守番役として、鳥居元忠以下、
二千名程で伏見城を守ることになったのよ。
 みんなは、鳥居元忠を知らないわね」
 みんな、うんうんと頷く。
「鳥居元忠という武将は家康が今川の人質と
なっていた、子供の頃からの側近の一人なの
よ。元忠は家康の絶対の忠臣と言われている
わ」みんな、ほおほおと頷く。
「お話を戻すとね。家康が上杉討伐に京を出
立すると、これを待ち構えていた石田三成の
軍勢九万が伏見城を攻撃したのよ」
 みんなはうんうんと頷いている。
「鳥居元忠とその部下は三成軍を少しでも長
く京に留まらせ、会津まで援軍に行かせない
ようにと奮戦したのだけど、遂に力尽きて、
落城する際に、鳥居元忠以下380名以上が
自刃したと言われているの。そして、元忠達
の遺骸は関ヶ原の合戦が終わる迄の2ヶ月も
の間、伏見城に放置されていたの」
「ええー?!二ヶ月も?」幸江が気持ち悪そう
に、顔をしかめて聞いた。
「そうなの。遺体からの血痕や顔や鎧のあと
が縁側の板に染み付き、いくら拭いても洗っ
ても落ちなくなったといわれているのよ。そ
れで、血の付いた廊下の板は自刃した武士た
ちを弔う意味で、お寺の天井板にはめ込んだ
のよ。この床板は五つのお寺に分けて、天井
板として供養されているの。
 そのお寺が京都にある、正伝寺 源光庵 
養源院 宝泉院 興聖寺というお寺で、血天
井として、供養されているのよ」
 あまりの夏子の歴史おたくぶりにみんなは
「へー」という顔で夏子を見た。
「で、その血天井巡りをしたい訳?夏子は」
 由美子がやれやれと、両手の平を上に向け
て開いた。
「そうなの。だめ?」夏子が探るようにみん
なを見回した。
「そうねぇ。なんとなく、興味が沸いてきた
わね。行ってみる?」私がいうと、夏子は行
こうよ、行こうよと、みんなを説得した。
「血天井巡りだけじゃ、つまんないから、一
緒に、甘味所巡りもしようよ」由美子がいう
と、みんなは一も二も無く賛成した。
 こうして、血天井巡りが決定し、巡る順番
と日程を決めました。
 京都での自由行動は二日間あるので、日程
初日は、養源院→正伝寺→源光庵→宿として、
二日目は、興聖寺→甘味所巡り、とした。
 残りの一つの宝泉院は遠いので、今回は外
しました。
 日程表を作成し、学校へ提出し、これで、
私達の血天井巡りは、準備万端です。


              つづく

2009年9月13日日曜日

霊感修学旅行(1)

    霊感修学旅行

           ようこ( ̄ー ̄)v

 この物語はフィクションです。物語に登場
する人物及び団体は架空のものです。実在の
人物および団体とは一切関係ありません。

 みなさん、こんにちは。今回は私が修学旅
行に行った時のお話をしてみたいと思います。
 
 今では修学旅行先に海外も珍しくないよう
ですが、関東では、私が高校生の頃の修学旅
行先といえば、京都・奈良方面が多かったと
おもいます。
 私たちの学校もご多聞に洩れず、修学旅行
先は京都・奈良方面でした。
 ホームルームの時間に、担任の沼田先生が
修学旅行について話ました。京都で二泊し、
その後、広島へ行って、原爆記念館を見てく
るそうです。京都ではグループ単位に自由行
動で、行動計画書を提出する事になりました。
 今では修学旅行で、グループ単位の行動は
珍しくないようですが、私たちの頃は団体行
動が主流だったので、その頃にしてはめずら
しい部類だったとおもいます。
 早速、クラスで、普段から仲が良い、由美
子、夏子、幸江と私の四人が集まり、グルー
プを作りました。
 四人は休み時間になると、いつもつるんで
行動をしていました。
 由美子は行動派の子で、何事も進んで物事
を進めるタイプで、クラスでも、リーダー的
存在の子でした。
 夏子は、ちょっと、お調子者で、歴史おた
く。
 幸江は優柔不断でおっとりとした子でした。
 今回の修学旅行先が京都・奈良という事で
一番喜んでいたのは歴史おたくの夏子でした。
 来週のホームルームまでに、それぞれ、何
をしたいか考えて来ることになりました。
 
 ・・・

 次のホームルームが来て、四人集まって、
ああでもない、こうでもないと行動計画を練
っていると、夏子が突然みんなに向かって言
いました。
「ねえねえ。血天井って知ってる?」
 それまで、わいわいがやがやと騒々しく話
していた私達は、(何を言っているの?この
子は?)という顔で唖然と夏子の顔を見まし
た。
「今、何て言ったの?」と由美子が眉をしか
めていうと、「血天井……。」と夏子は罰が悪
そうに俯きながら爪をいじっています。
「何それ?気味悪い」と、幸江が恐ろしそう
に聞きました。
「血天井、知らないの?」と夏子が得意気に
言うと、みんな一斉に「そんな物、知らない
わよ!」と言いました。
 夏子はここぞとばかりに歴史おたくの血が
騒ぐようで、血天井の説明を熱く語りだしま
した。
 
              つづく

2009年9月9日水曜日

たっくんの完全なる飼育(15)最終回

 後日、理恵は信君の車に乗って、ようこの
マンションの前まで行った。
 ようこが出てくるまで、車の中で、張り込
みをしてみる事にした。

    ・・・

「ちょっと、あんたさぁ。お昼のご飯、買っ
てきてくんない?」
 ようこは風邪をひいてベッドに横になった
まま、竹部に云った。
「ああ、良いよ。夜のご飯は僕が作るから」
 今では竹部は手錠も足縄もされていなかっ
た。竹部はもはや、逃げようとはしなく成っ
ていた。
 ようこが、風邪で倒れてから、竹部が、よ
うこの看病をし、炊事洗濯などをしていた。
 今では、すっかり、普通の夫婦のような生
活をしていた。
「じゃ、行ってくるね」
 そう云うと、竹部は玄関の鍵を開けて、出
掛けて行った。
 
    ・・・

 理恵達は車の中でしばらく、マンションの
入り口を見張っていた。
 時間はお昼近くになっていた。
 諦めて、食事に行こうかと思った矢先に、
マンションから、たっくんらしき、人物が出
てくるのを発見した。
「信君。ね、あれ、たっくんじゃ無い?」
 幾分、痩せ細ってはいるが、マンションか
ら出てくる人物は間違いなくたっくんだった。
 理恵と信は車から出ると、急いで、たっく
んの所まで、走り寄った。
「竹部!おい!俺だ!」
 信が声をかけると、たっくんは立ち止まっ
た。
 たっくんは、はっとした様な顔をしている。
「おい。竹部。お前、無事だったんだな。さ、
帰ろう」
 信君がたっくんの腕を掴むと、たっくんは
それを振り払った。
「よしてくれ。僕は何処へも帰らない。ここ
が僕の家だからね」と、たっくんは今出て来
たマンションを振り返って云った。
「どうしたんだ?俺たちが、どれだけ、お前
の事を心配したか。実家のおふくろさんも悲
しんでるぞ」
「そうよ、たっくん。ね?帰りましょう」と理恵
は云ったが、たっくんは聞く耳を持たないと
言う風情だった。
「僕が居ないと、あの人はだめになってしま
うんだ。だから僕は帰らない」
 その言葉を聴いて、理恵は雷に撃たれたよ
うな衝撃を感じた。
 たっくんの口から出た言葉が信じられなか
った。
「どうしちゃったの?たっくん!あの女に脅
されてるのね?」
「帰りましょう」と、理恵が手を取ったが、
「帰らないと言ってるだろう!」と、たっくんは
その手も振り払った。
 理恵は信じられないと云った表情で泣き出
した。
 たっくんは、そんな理恵と信を尻目にその
場を逃げるように去ってしまった。
 信君は「仕方ない。本人がああ言ってるん
では……。さ、帰ろう」と云って、泣いてい
る理恵の肩を優しく包んで、車の方へ促した。

           おわり

たっくんの完全なる飼育(14)

 それだけでも、進展があった。
「まだ、諦めるのは早いわ。まだ、このビル
にいるか、もしくはそう遠くへは行ってない
はずよ。探しましょう」と理容子は云った。
 理恵は「そうね」と頷くと、理容子と一緒
に、更に下の階を探した。
「おかしいわねー。あの女の気配を全く感じ
ないわ」と理容子は云った。1階まで、降り
て来たが、女の気配は感じ無かったようだ。
「ちょっと、外へ出てみましょう」と理容子は
云った。
 二人は外へ出ると、キョロキョロと辺りを
見回した。
 すると、またしても、理容子が女を発見し
た。
「居たわ!こっちよ!」
 そう言うと、理容子は駆け出した。
 理恵も後に続いた。
 女は横断歩道の所で信号待ちをしていた。
 理恵達は、信号待ちをしている女の背後へ
近づいた。
 理恵は女の横顔を間近で見た。
 理容子が言ったように、20代後半と見ら
れる女だった。顔はとびきり美人という程で
もないが、まあまあの顔立ちと云う所か。
 髪はロングでカールヘアー。
 身なりは派手でも無く、地味でもないごく
普通のOL風の格好をしていた。
 理恵はこっそり、ケータイで女の横顔を写
真に撮った。
 理容子はさり気なく、女の背後に立って、
「あら、ごめんなさい」と云って、ちょっと
よろめくように女に接触した。
 女は「いいえ」と云った。
 女に接触した理容子の顔が驚愕の顔に変わ
った。
 理容子は理恵の耳元で小声で云った。
「この女が竹部さんを誘拐して、監禁してい
るわ」
「え?まさか!?本当なの?」
 理恵は咄嗟に言葉が出なかった。まさか、
監禁なんて。しかも、女が男を……。もし、
そうだとすると、これは立派な犯罪だわ。早
く警察に届けなくてはと思ったが、証拠が無
い。
「共犯者はいるの?」と聞いたが、単独犯だ
という返事が返って来た。
 理容子は続けた。「あたしも驚いたわ。接
触した途端に、竹部さんの監禁されている姿
が、脳裏に浮かんだわ。とにかく、この女を
尾行しましょう」と云った。
 二人は女に気づかれないように尾行をする
ことにした。
 女は横断歩道を渡って、バス停でバスを待
っていた。
 理恵たちも同じく、バスを待った。
 やがて、バスが来て、女はバスに乗った。
理恵たちも、後に続いて、バスに乗った。
 理恵たちは、女が座ったシートの少し後ろ
に座って、女を監視した。
 しばらくバスに乗っていると、女が降りる
用意をしだしたので、理恵たちも後を追って、
降りた。
 女はバスを降りると、商店街の方へ歩いて
行った。
 女は八百屋に入った。何か、店主と話して
いるようだ。
 しばらくすると、八百屋から女は出て来た。
 再び、理恵たちは、女に気づかれないよう
に後を追った。
 女はマンションに着くと、中に入って行っ
た。
 マンションは他人が入れない様になってい
るセキュリティマンションだった。
 これ以上、中の様子を確かめる事は出来な
かった。

 仕方が無いので、理恵たちは先ほど来た道
を引き返して、先ほど、女が入って行った商
店街の八百屋へ行った。
 八百屋の看板には、『檻商店』と書いてあ
った。
 八百屋に入ると、先ほどの店主が出て来た。
 八百屋のおやじは、「いらっしゃい。きゅ
うりが安いですよ」と云った。
 理恵はおやじに聞いた。
「あのう?つい先ほど、若い女の人が買い物
をして行ったと思うんですけど。ロングヘアー
の女の人なんですけど……」と云うと、おや
じは「あっ。ようこちゃんの事かい?」と云
った。
「名前は解からないんですけど、ようこさん
と言うんですか?」
 おやじは怪訝そうな顔をして言った。
「あんた達の聞いてるのは、この先のマンシ
ョンに住んでる、ようこちゃんの事じゃ無い
のかい?」と云った。
「あっ。そうそう、ようこさんだった」と、
理恵は咄嗟に誤魔化した。
「で、ようこちゃんに何か用かい?」と聞い
て来たので、もう良いですと言って、店を出
た。
 理恵たちは、たっくんの居場所をとうとう、
突き止めた。謎の女の名前は『ようこ』。 
そして、あのマンションの中には、たっくん
が監禁されているに違い無かった。

たっくんの完全なる飼育(13)

 理恵は焦っていた。理容子から聞いた、た
っくんの状態を考えると、一刻の猶予も許さ
れないのではないだろうか?
 こうしている間にもたっくんの身の上に何
か起こっているかも知れない。
 理恵は居ても立ってもいられなかった。
 理容子から、たっくんの状態を聞いてから、
はや一週間が過ぎようとしていた。
 その間、何の手掛かりも無かった。
 たっくんが失踪してから、1ヶ月近くが過
ぎようとしていた。
 一緒に街中を歩いて、たっくんの痕跡を探
して貰うように、理恵は再び、理容子に頼ん
だ。
 理容子は快く応じてくれた。
 今度の日曜日に、三宮駅の前で、会う約束
をした。

 理恵は約束の時間に三宮駅前に行った。
 少し待っていると、向こうから、歩いてくる
理容子が見えた。
「ごめんなさい。待った?」
 理容子はそう言いながら、こちらに近づい
て来た。
「ううん。あたしも今、着いたところだから。
何処を探せばいいか解からないけど、ちょっ
と、あちらの方へ行ってみましょうか?」
 理恵は理容子と二人で街中を歩き廻った。
 理容子は人ごみの中は苦手らしく、始終、
緊張した面持ちで歩いていた。
「理容子さん。ごめんなさい、休みの日だと
言うのに、こんな事につき合わせてしまって」
 理恵は理容子に対して、申し訳ないと思った。
 理容子は首を横に振った。
「ううん。あたしは理恵さんに協力したいの。
あたしも乗りかかった船だもの。竹部さんが
一日も早く見つかるといいわね」
「理容子さん。ありがとう……」
 理恵は理容子の言葉に胸が熱くなった。

 午前中、あちこちを歩き廻ったが、何の手
掛かりも掴めなかった。
「お腹が空いたわね。ちょっと、そこのレス
トランで食事をしましょうか?」
 理恵は前方に見えるファミレスで理容子と
食事をする事にした。
 食事をしながら、理容子は言った。
「あたし、人ごみの中はすごく苦手なの。人
が多い所は、直接接触しなくても、他人の想
念が流れ込んでくるので、常に緊張して、気
を張っていないといけないの」
「そうなんだ?ごめんなさい。こんな所へ連れ
出して」
「ううん。理恵さんの為だもの」
 理容子は微笑んだ。今日初めての笑顔かも
知れない。本当に申し訳ないと思った。
「まだ、何の手掛かりも掴めないわね。あた
し、家に一人で居ると、たっくんの事を考え
て、気が変になりそうなの。何もしないでい
るよりは、こうして動いていた方が、気が楽
なの」
 二人は食事を終えて、近くのデパートへ入
った。
 何かを買う訳でも無いが、洋服などを見て
いた。
 ふいに、理容子が理恵の袖を引っ張った。
「ね!理恵さん。あの女よ!」
「え!?何?」
 理恵が指さす方を観ると、遠方に女の人が
見えた。遠くて顔は良く見えなかった。
「あの女よ!喫茶店と欄干で見えた女」
 理恵は、こんな所で、謎の女が見付かると
は思っても居なかったので、びっくりした。
「え?本当なの?」
 理恵が指さす女はエレベータに乗ろうとし
て居た。
 理恵達は急いで、女の方を目指して駆け出
した。
 女はエレベータに乗ってしまった。
 理恵達が追いついた頃にはエレベータは閉
まって、階下へ降りて行ってしまった。
 エレベータは理恵達が居る8Fから、6F
で止まった。
 急いで、走って、エレベータの近くの階段
を6Fまで下りた。
 二人とも、はあはあと息を切らしながら、
6Fのエレベータ付近を見渡した。
「ねえ。あの女はいるかしら?」
 理恵はあたりをきょろきょろと見回しなが
ら、理容子に聞いた。
「あの女の気配を感じないわ。見失ったみた
いね」
 理容子は残念そうに言った。
 またしても、手掛かりを失ったように思え
たが、意外にも、謎の女はこの近辺に居ると
いう事が解かった。
 それだけでも、進展があった。

たっくんの完全なる飼育(12)

  第四章 焦燥

 すっかり、竹部もおとなしくなったわね。
 初めの内は、なんとか逃れようと、じたば
たしていたようだけど、最近はすっかり大人
しくなって、安心だわ。
 ようこはそう思いながら、帰宅して、玄関
の鍵を開けた。鍵は特殊なもので、外側から
のみ開くものに変えていた。内側からは鍵が
無いと開かない構造になっていた。
「ただいまー。今日もいい子にしてた?」
 竹部は、ようこが帰ってくると、飼い犬が
主人の帰りを喜ぶように、嬉しそうな顔をし
た。
 犬の様に尻尾が付いていたなら、竹部はし
きりに、尻尾を振っていたに違いない。
 ここ二週間で、驚くほど、従順になった竹
部を見て、ようこは嬉しかった。
「いい子ね。じゃー、御褒美に足縄はもう、
解いてあげましょう。今日から足縄はしない
わ」
 そう言うと、ようこは竹部の足縄を解いた。
 竹部は本当に嬉しそうな顔をした。
「ありがとう、ようこさん。ううう」
 竹部は嬉しさのあまり、涙ぐんでいた。
「まあ?そんなに嬉しいの?じゃー、御褒美
をもっとあげる。おねーさんと一緒にお風呂
に入りましょうね」
「え?本当ですか?一緒に風呂に入っても
いいんですか?」と竹部は嬉しそうな顔をした。
 竹部はすっかり、ようこに飼い慣らされて
しまったようだ。
 ようこは竹部の手錠をはずした。
「あたしが先に入ってるから、後から入って
来ても良いわよ」
 そう言うと、ようこは脱衣所に行った。玄
関の鍵は用心の為、一緒に持って行って、脱
衣所の棚の上の方に隠した。
 先に湯船に入って、待っていると、洗い場
に竹部も入って来た。
 竹部は恥ずかしそうに、前をタオルで隠し
ていた。
「さ、そこに立ってないで、ここへお入んな
さい」
 湯船に一緒に入るように促すと、竹部はお
ずおずと湯船に入ってきた。
 ようこは、自分の裸を見て興奮している竹
部を見るのが面白かった。
「あら?何、タオルで前を隠してるの?そん
なに大きくして。嫌らしいわね」
 ようこは竹部の一物をぎゅっと握った。
「いっ!」竹部は男の急所を急に握られたの
で顔をしかめ、短く声を漏らした。
 そのまま、竹部の硬くなったものを上下に
しごいた。
 竹部は気持ち良さそうに、目を瞑っている。
 竹部のものはますます、熱く、硬くなって
いた。
「さ、出るわよ。あたしの背中を流して」
 竹部の視線を背中に感じながら、ようこは
湯船から出た。
 湯船から出て、椅子に座ると、竹部も後に
続いて、湯船から出た。
 竹部は言われるままに、タオルに石鹸を付
けて、ようこの背中を流した。
 時々、間違った振りをして、ようこのおっ
ぱいの方まで、手が伸びてきた。
 ようこは、すかさず、その手をぴしゃっと
叩いた。
「何してるの!誰がお乳を触って良いって言
った?」
 竹部は子供が叱られた時のように、「ごめ
んなさい」と小さくなって謝った。
 その様子を見て、ますます、竹部を虐めて
やりたくなった。
「反省してる?じゅあ、罰として、あたしの
乳首を10分間舐めなさい」
 竹部は従順に「はい」と返事をして、ようこ
の前に回りこむと、中腰に成って、ようこの
おっぱいを鷲づかみにした。
 竹部の痛いほど怒張した一物が天を突いて
いるのが見えた。
「ちょっと!痛いわね!もう少し優しくする
のよ!」
 ようこに叱られ、益々、竹部は小さくなっ
て、ようこの乳首を舐めた。
 竹部はチュパチュパと音を立てながら、よ
うこの乳首を舐めた。
 ようこは竹部の怒張した一物の先端を触っ
てみた。先端は先走りでヌルヌルしていた。
「たっくん。何?このヌルヌルしたものは?
本当に嫌らしいわね、あなたって」
 ようこは、しきりに乳首を舐める竹部の頭
を見下ろしながら言った。
 全然、罰になっていないけど、気持ち良い
から、ま、いいかと思った。
「さ、もう良いから、出るわよ」
 竹部は名残り惜しそうにしながら、ようこ
の乳首を舐めるのをやめた。
 ようこはお風呂から出ると、バスタオルを
竹部に渡し、「あたしの体を拭きなさい」と
命令した。
 竹部は嫌がる様子も無く、自分は濡れた体
のまま、嬉々として、ようこの濡れた体をバ
スタオルで丹念に拭った。
 特に、ようこの水の滴る、股間の茂みは丹
念に拭った。
 タオルが性器に触れるたびに気持ち良かっ
た。
 あまり、したい放題にさせておくと、図に
乗ると思い、竹部の手を払い退けた。
「もう、良いわ」素っ気無く、そう言うと、
ようこはさっさと、下着とパジャマを身に着
けると、リビングの方へ行った。