2011年7月22日金曜日

『田舎のバス』

    『田舎のバス』

           ようこ( ̄ー ̄)v

 田舎のバス。なんとなく、風情があって、
楽しそうな雰囲気がしますよね。
 子供の頃は塾通いで、よくバスを利用しま
した。ある雨の日の夜、バス停でいつものよ
うにバスを待っていました。
 バスに乗ると、乗客は誰もいません。
 そう。乗客は私一人なのです。バスの広い
空間にポツンと乗客は私一人。田舎の為、道
路の外には街頭などありません。全くの闇で
す。
 途中、バスの停留所には誰もいません。
 バスは私一人を乗せて、闇の中を只ひたす
ら疾走します。
 バスの中には運転手さんと乗客の私一人の
み。運転手さんは一言も喋りません。黙々と
運転します。
 窓の外の景色は漆黒の闇。
 ふと、このバスは、このまま、私の与り知
らない遠い所へ行ってしまうのではないかと
いう思いに囚われます。
 バスの走る軋み音と、雨の音。静まり返っ
た車内。このまま、不気味な時間が永遠に続
くのかという思いに囚われます。
 (もしかしたら、このバスは霊界へ通じる
霊柩車?このまま、私は霊界へ連れ去られて
しまうの?)
 相変わらず、運転手さんは一言も喋りませ
ん。バスはしばらく、私一人を乗せて走って
います。
 私一人を乗せた状態は、時間にして、数十
分の事だったのかも知れません。しかし、私
には永遠の時間に思われました。
 しばらく走っていると、ようやく、バス停
留所に待っている人が現れました。バスは停
車し、お客さんを載せました。
 (良かった、このバスは霊界バスじゃなか
ったわ)
 やっと、安心しました。
 
              おわり

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