2009年9月9日水曜日

極道女医『釜美』(17)最終回

 くまを助けた釜美達一行は、今度は逆に礼
子を誘拐して、暴阿組事務所に引揚げた。

 事務所に着くと、釜美は玲子を組事務所の
地下倉庫に連れて行った。
「手を後ろに廻しなさい」と礼子に云うと、
後ろ手に廻した手首に手錠を架けた。
「ちくしょう!あたしをどうしようってのよ!」
 釜美に手錠を架けられて礼子は毒づいた。
 釜美は礼子を冷ややかな目で見て云った。
「少しの間、ここで大人しくしていて頂戴。
あなたは、鯛弐組の組長、鯛弐礼二を誘き寄
せる大事な人質なんだから」
 そう云うと、釜美は礼子を倉庫に残して出
て行った。

 礼子が暴阿組に捕まったという知らせを聞
いた鯛弐礼二は歯軋りをして悔しがった。
「くそー。釜美の奴め、礼子を連れ去りやが
って!こうなったら、全面戦争だ!」
 鯛弐礼二は激怒した。組の幹部連中を緊急
招集した。

 一方、鯛弐組と暴阿組に不穏な動きがある
ことを察知した警察は鯛弐組と暴阿組に同時
にガサ入れを行った。
 警察は即座に、銃刀法所持違反容疑で鯛弐
礼二と苦俺釜美を逮捕した。

 間もなく、釈放された釜美はここらが良い
潮時だと思い、組を解散した。
「じーちゃん。恨みは晴らせなかったけど、
良いよね。あたしはもう、疲れたよ。あたし
の代で暴阿組を解散してごめんよ」
 一連の騒動で、勤めていた大学病院も頸に
成った。
 間もなく、釜美は栗を連れて、地方の小さ
な開業医として、町医者を細々と始めた。

                終わり

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