2009年9月9日水曜日

極道日記(6)

 狂徒用助、竹部朗愚、序衿理恵男の三人を
カフェに呼び出し、裸婦裸は言った。
 「おう!てめーら。今日はな、これから、
ちょっと、遊びに行くぞ」
 「かしら、どうしたんです?普段はお堅い
方が……。」
 狂徒用助はガムをくちゃくちゃと噛みなが
ら言った。
 「実はな、遊びと言っても、遊びじゃーねー
んだ」
 裸婦裸は真顔になって事の成り行きを説明
した。
 「俺たちはDear風呂組がどんな組織だか知
らねー。そこでだ。敵の様子を探るため、
Dear風呂組が経営する、ホストクラブなるも
のに探りを入れるんだ」
 「へえー。ホストクラブですか?でも、俺
たちはみんな、野郎ばかりですよ。野郎ばか
りで、ホストクラブに押し掛けたんじゃー、
おかしくねーっすか?」
 竹部はバタフライナイフを器用に操りなが
ら、言った。
 「そうなんだ。そこでだ、俺たちはオカマ
に変身して、ディア風呂に行くんだ。オカマ
なら、ホストクラブに行ってもおかしくねー
んじゃねーか?」
 「ええー?!オカマっすか!?俺は嫌ですよ!」
竹部は猛烈に反発した。
 「ばかやろー!まずは敵を知る事が先決だ!
敵を知り、己を知れば、百戦なんとかと言う
じゃねーか」
 「だが、おかしら……。」
 『狂犬の竹部が、オカマとは、落ちたもん
だ。だが、観留の弔い合戦の為だ、仕方ねー
か』と、自分に言い聞かせながら、竹部はし
ぶしぶ承諾した。
 「かしら!任せて下さい。俺、オカマ得意
ですから!」
 理恵男は水を得た魚のようにはしゃいだ。 
理恵男は普段から、女のように化粧をしてい
た。はじめて化粧をしたのは、中学生の時だ
った。姉の化粧品を盗んで、良く化粧をして
いた。また、あたしの化粧品を盗んだと、姉
の栗には、よく怒られていた。

    ・・・・
 裸婦裸は言った。
 「くれぐれも、Dear風呂組の奴らには、俺
たちが檻々組のもんだと、悟られないように
な!」
 「おー!」
 掛け声も勇ましく、オカマの支度をして、
四人はディア風呂に向かった。

    ・・・・

 四人はディア風呂のドアの前に立っていた。
 ドアには、お風呂の温泉マークが有り、Dear
風呂と書いてあった。一見、銭湯と間違えそ
うな按配だ。
 裸婦裸はドアを押して、入っていった。残
り三人も裸婦裸に続いた。
 「いらっしゃいませー」
 ディア風呂に入ると、美人ママの美湯が四
人の前にやってきた。
 やけに美人だ。そして、俺好みの巨乳だと
裸婦裸は内心、ほくそ笑んだ。だが、武闘派
で通っている手前、子分に示しが付かなくな
ると思い、自分がオカマである事を忘れて、
渋く構えた。
 「かしら?何、しかめ面してんです?もっ
と、笑ってくださいよー」
 用助は裸婦裸を見て言った。
 「あっ。そ、そうね。ほほほ」
 「こちらへ、どうぞ」
 美湯ママは奥の席を勧めた。
 胸も露なドレスを着た美湯ママの胸が、歩
く度にブルンブルンと揺れた。
 『ひょー?!たまらんなぁ』
 本来の目的を忘れ、裸婦裸はすっかり、美
湯ママの魅力にとり憑かれたようだ。

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