2009年9月9日水曜日

極道日記(13)

 栗は店内へ戻った。
 店内では、ブラとパンツだけになったルミ
が、干す徒達におしぼりを投げつけたり、ソ
ファーのクッションを投げつけたりと、大暴
れをしていた。
 間もなく檻々組が乗り込んでくるわ。早く

あの子達を安全な場所に移さないと。
 栗は早足で、ルミの側に行くと、ルミの手
を引っ張った。
「まぁ!この子は、何をしてるの!ちょっと

こっちへ来なさい」と、強引に手を引きなが
ら、利美とやっちんにも言った。
「あなた達も、ぐずぐずしてないで、こっち
へ来なさい!」
 と、言いながら、入口のドアの前まで、早

に歩いた。残りの二人もついて来たようだ。
 よかったと、一安心していると、檻々組の
裸婦裸を先頭に組員が温泉マークの付いた
Dear風呂のドアの前まで、どやどやと押し
掛けてきた。
 裸婦裸はあたし達を見つけて、心配そうに
聞いた。
「ママ、大丈夫か?」
 裸婦裸の姿を見て、今までの緊張がいっぺ
んに解けた。この抗争もこれで終結かと思っ
た。
「ええ。大丈夫よ。それよりも、早く、片付
けちゃって」
「まかせとけ」そう言うと、裸婦裸は手下を
従え、店内にどやどやと入って行った。


 いきなり現れた、見るからにやくざ風の男
達を見て、美湯ママは驚いた。
 とうとう、やって来たかと思った。
 先日から、『檻々組』とか言う、地元の新
興の
暴力団と、うちの干す徒達の間に、いざこざ
が絶えなかった。
 こういう時に備えて、普段から訓練をして
いた甲斐があったと思った。
「なんです?あなた達は!」
 先頭の厳つい顔をした男には見覚えがあっ
た。先日、うちの店へ来た、オカマだ。その
他にも見覚えのある顔が何人かいた。
 裸婦裸は薄笑いを浮かべながら、言った。
「俺は檻々組の裸婦裸だ。憶えてるか?この
前、ここへ遊びに来たオカマの裸婦裸子だよ

 やっぱり、と思った。変なオカマが四人も
大挙して押し掛けて来たときから変だと思っ
ていた。
「憶えているわよ。お客さんの顔と名前は一
度聞いたら、忘れないわ。商売ですから」
「そうか。そんなら、話は早えーな。ママの
命と、そこに居る、干す徒の命貰いに来たぜ

 今だ!と思った。美湯はスカートを捲ると

太股のホルスターから、拳銃を素早く抜くと

パンパンと2発撃った。
「うぎゃー!」
 雑巾を引き裂くような声が裸婦裸の後ろで
起こった。組員の一人が銃弾を受けた。
 竹部だった。肩から血を流していた。

 こういう場面を想定して、銃器をテーブル
の裏に隠して、備え付けておいて良かったと
思った。
 干す徒たちは既に、それらの銃器で武装
していた。
「やりやがったな!」裸婦裸の怒声を合図に
両者が睨み合った。

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