栗は店内へ戻った。
店内では、ブラとパンツだけになったルミ
が、干す徒達におしぼりを投げつけたり、ソ
ファーのクッションを投げつけたりと、大暴
れをしていた。
間もなく檻々組が乗り込んでくるわ。早く
、
あの子達を安全な場所に移さないと。
栗は早足で、ルミの側に行くと、ルミの手
を引っ張った。
「まぁ!この子は、何をしてるの!ちょっと
、
こっちへ来なさい」と、強引に手を引きなが
ら、利美とやっちんにも言った。
「あなた達も、ぐずぐずしてないで、こっち
へ来なさい!」
と、言いながら、入口のドアの前まで、早
足
に歩いた。残りの二人もついて来たようだ。
よかったと、一安心していると、檻々組の
裸婦裸を先頭に組員が温泉マークの付いた
Dear風呂のドアの前まで、どやどやと押し
掛けてきた。
裸婦裸はあたし達を見つけて、心配そうに
聞いた。
「ママ、大丈夫か?」
裸婦裸の姿を見て、今までの緊張がいっぺ
んに解けた。この抗争もこれで終結かと思っ
た。
「ええ。大丈夫よ。それよりも、早く、片付
けちゃって」
「まかせとけ」そう言うと、裸婦裸は手下を
従え、店内にどやどやと入って行った。
いきなり現れた、見るからにやくざ風の男
達を見て、美湯ママは驚いた。
とうとう、やって来たかと思った。
先日から、『檻々組』とか言う、地元の新
興の
暴力団と、うちの干す徒達の間に、いざこざ
が絶えなかった。
こういう時に備えて、普段から訓練をして
いた甲斐があったと思った。
「なんです?あなた達は!」
先頭の厳つい顔をした男には見覚えがあっ
た。先日、うちの店へ来た、オカマだ。その
他にも見覚えのある顔が何人かいた。
裸婦裸は薄笑いを浮かべながら、言った。
「俺は檻々組の裸婦裸だ。憶えてるか?この
前、ここへ遊びに来たオカマの裸婦裸子だよ
」
やっぱり、と思った。変なオカマが四人も
大挙して押し掛けて来たときから変だと思っ
ていた。
「憶えているわよ。お客さんの顔と名前は一
度聞いたら、忘れないわ。商売ですから」
「そうか。そんなら、話は早えーな。ママの
命と、そこに居る、干す徒の命貰いに来たぜ
」
今だ!と思った。美湯はスカートを捲ると
、
太股のホルスターから、拳銃を素早く抜くと
、
パンパンと2発撃った。
「うぎゃー!」
雑巾を引き裂くような声が裸婦裸の後ろで
起こった。組員の一人が銃弾を受けた。
竹部だった。肩から血を流していた。
こういう場面を想定して、銃器をテーブル
の裏に隠して、備え付けておいて良かったと
思った。
干す徒たちは既に、それらの銃器で武装
していた。
「やりやがったな!」裸婦裸の怒声を合図に
両者が睨み合った。
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