2009年9月7日月曜日

鴨の一家

 「鴨の一家」

       ようこ( ̄ー ̄)v
 
 鬱蒼と茂る森の一角に、沼があります。
 その沼では、今日も鴨の一家が、「があが
あ」と賑やかに暮らしています。
 沼に住んでいる鴨一家のお父さんが空を見
上げて言いました。
「ああー。今日は大雨だー。こんな日は向か
いの森に出かけるぞー」
 それを聞いた小鴨が、空を見上げているお
父さん鴨に、不思議そうに聞きました。
「父ちゃん。森に何があるの?」
「ん?そうか。おまえはまだ、知らないんだっ
たな。こんな、大雨の日は向かいの森に行くと、
虫たちが地面からもぞもぞと出てくるんだ。
ご馳走だぞー」
「じゅる。わーい。食べたーい。父ちゃん、早く、
行こう!」
「待て待て。今、母さんを呼んで来るから。
みんな揃ったら、出かけるぞ」
「わーい。わーい」
 小鴨達は大喜びです。
「さあ、母さんも来たことだし。出かけるぞ」
「はーい」
 向かいの森に行く為には幾つかの難所があ
ります。
 まず、高い土手を登らなくてはなりません。
 そして、道路の横断をして、向かいの森に
入ります。
 飛べば良いと思うかも知れませんが、鴨に
とっては飛ぶことは大変な事なのです。
 鴨の一家は土手を登って、道路を横断しな
がら、道を這ってる虫をみつけてはついばん
でいました。
 そこへ、何か大きな黒い物体が、物凄い勢
いで迫ってきました。
 鴨のお父さんは驚きました。
「わーー!?車だ!車だ!逃げろ!早く逃げろ!」
 鴨のお父さんは叫んだけど、夢中でエサを
ついばんでいる子供達には聞こえないようで
す。
 みるみる車は迫ってきました。
 間一髪、鴨のお父さんとお母さんは車をか
わしました。
 子供たちは足がすくんで動けないようです。
 その場に立ち止まってしまいました。
「あああああ……」
 両親の見ている前で小鴨達は車に吸い込ま
れる様に見えなくなりました。
「きゃー!」お母さん鴨が叫びました。
「轢かれた!」お父さん鴨は叫びました。
 車はそのまま、過ぎ去りました。
 車の去った、後には、小鴨達が固まって、
すくんでいました。
「えーーーん」
 小鴨達は車体の間に入った為、無事でした。
「良かった」安堵のため息を吐いたお父さん
鴨は子供達に言いました。
「いいか、道路には、さっきの様に、車という
恐ろしい生き物がいるんだ。
これからは、お前達も道路を渡るときは、気
おつけるんだぞ」
「えーーーん。怖かったよー」
 小鴨達はまだ、泣いています。
「よしよし。今日はもう、沼に帰るぞ」
 鴨の一家は森へ入らず、沼へ引き返して行
きました。


            おわり。

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