店を出た四人はカフェ事務所へ戻り、今後
の作戦を練った。
裸婦裸は用助、竹部、理恵男の三人の前で
喋った。
「なあ、あの干す徒達は、ただもんじゃーね
ー
ぞ。あのお姫様だっこの力を見たか?」
竹部はうなずいた。「そうだな。俺も驚い
た。あの力は相当、鍛えていないと出ないな
」
「ん。こころして、かからねばな。だがな、
Dear風呂はあの美湯ママでもっているような
もんだからな……。よし。理恵男、美湯ママ
を殺れるか?」
突然、自分に振られ、理恵男はおろおろし
た。
「かしら、自分が美湯ママを殺るんですか?
」
「おうよ。理恵男、こいつで男を上げてこい
や」
裸婦裸はカウンターの前に拳銃を置いた。
理恵男は震える手で拳銃を握った。
拳銃は、ずっしりと重かった。銃身は黒々
と光っていた。緊張で、銃を握る手の平は
びっしょりと、冷たい汗をかいていた。
・・・・
翌日、理恵男は一人、Dear風呂に向かった
。
Dear風呂のドアの前に立つと、緊張で足が
、
ガクガクした。
「いらっしゃい」
美湯ママが笑顔で応対した。
「あら、昨日の。また、来てくださったんで
すか?今日はお一人ですか?こちらへどうぞ
」
「……」
理恵男は無言で、震える手で懐から拳銃を
取り出し、銃口をママに向けた。
「キャー!」美湯ママは悲鳴を上げた。
理恵男は半分目を瞑って、引き金を引いた
。
パーン!銃声が響いた。
銃弾ははづれて、美湯ママの脇の壁に穴を
空けた。
「この野郎!何すんだ!」干す徒達は一斉に
理恵男に群がった。
理恵男は訳も無く、干す徒達に取り押さえ
られてしまった。
「テメー!昨日のオカマだな!一体、どうい
う了見だ!」
理恵男を取り押さえた干す徒は怒声を放っ
た。
「ちきしょー!俺は檻々組の理恵男だ!観留
兄貴の仇を討ちに来たんだ!」
「何ー!?檻々組だと!?そうか、一人で来ると
は、
良い度胸じゃねーか。よし、その度胸に免じ
て、
ドラム缶で神戸湾に沈めてやろうじゃないか
」
「ちきしょー!」
『かしら!失敗しちまった。
俺はこれでお終いだ。
短い人生だったけど、かしらや、檻おやっ
さ
んや、仲間達と楽しかったな……。
栗ねーちゃん。最後まで、バカな弟を許し
て
くれ……』
姉と遊んだ子供の頃や、交通事故で亡くし
た
両親の顔などが、走馬灯のように脳裏に走っ
た。死んでも死にきれないと思った。涙が頬
を
伝った。
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