2009年9月9日水曜日

極道日記(8)

 店を出た四人はカフェ事務所へ戻り、今後
の作戦を練った。
 裸婦裸は用助、竹部、理恵男の三人の前で
喋った。
「なあ、あの干す徒達は、ただもんじゃーね

ぞ。あのお姫様だっこの力を見たか?」
 竹部はうなずいた。「そうだな。俺も驚い
た。あの力は相当、鍛えていないと出ないな

「ん。こころして、かからねばな。だがな、
Dear風呂はあの美湯ママでもっているような
もんだからな……。よし。理恵男、美湯ママ
を殺れるか?」
 突然、自分に振られ、理恵男はおろおろし
た。
「かしら、自分が美湯ママを殺るんですか?

「おうよ。理恵男、こいつで男を上げてこい
や」
 裸婦裸はカウンターの前に拳銃を置いた。
 理恵男は震える手で拳銃を握った。
 拳銃は、ずっしりと重かった。銃身は黒々
と光っていた。緊張で、銃を握る手の平は
びっしょりと、冷たい汗をかいていた。
 
     ・・・・

 翌日、理恵男は一人、Dear風呂に向かった

 Dear風呂のドアの前に立つと、緊張で足が

ガクガクした。
「いらっしゃい」
 美湯ママが笑顔で応対した。
「あら、昨日の。また、来てくださったんで
すか?今日はお一人ですか?こちらへどうぞ

「……」
 理恵男は無言で、震える手で懐から拳銃を
取り出し、銃口をママに向けた。
「キャー!」美湯ママは悲鳴を上げた。
 理恵男は半分目を瞑って、引き金を引いた

 パーン!銃声が響いた。
 銃弾ははづれて、美湯ママの脇の壁に穴を
空けた。
「この野郎!何すんだ!」干す徒達は一斉に
理恵男に群がった。
 理恵男は訳も無く、干す徒達に取り押さえ
られてしまった。
「テメー!昨日のオカマだな!一体、どうい
う了見だ!」
 理恵男を取り押さえた干す徒は怒声を放っ
た。
「ちきしょー!俺は檻々組の理恵男だ!観留
兄貴の仇を討ちに来たんだ!」
「何ー!?檻々組だと!?そうか、一人で来ると
は、
良い度胸じゃねーか。よし、その度胸に免じ
て、
ドラム缶で神戸湾に沈めてやろうじゃないか

「ちきしょー!」
『かしら!失敗しちまった。
 俺はこれでお終いだ。
 短い人生だったけど、かしらや、檻おやっ

んや、仲間達と楽しかったな……。
 栗ねーちゃん。最後まで、バカな弟を許し

くれ……』
 姉と遊んだ子供の頃や、交通事故で亡くし

両親の顔などが、走馬灯のように脳裏に走っ
た。死んでも死にきれないと思った。涙が頬

伝った。

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