ようこは仕方なさそうに、おしぼりを持っ
て、Dear風呂組の干す徒が座っているテーブ
ルに向かった。
「いらっしゃいませ」
ようこはDear風呂組の二人に挨拶すると、
空いている隣に座り、おしぼりを手渡した。
おしぼりを受け取った男は手を拭き、そのま
ま顔を拭った。
「うっ。なんだこれは?このおしぼり、汚れ
てるな~」
男はおしぼりを見て、顔をしかめた。
「え?おしぼりは新しいものですが……。」
ようこはどぎまぎしながら答えた。
男は不快そうに顔を歪め、なおも言った。
「いいや。汚れてる。このおしぼりは汚い」
あわてて、ようこは言った。
「そんなことありません。それは、お客様が、
顔をお拭きになったから……」
それを聞いた、男のコメカミに青筋が奔っ
た。
「なんだとう!俺の顔が汚いとでも言うのか!
このおしぼりはなー!初めから汚れてたんだ
よ!」
ようこはびくっとして、そのまま固まった。
男はなおも執拗に攻め立てた。
「なんだ、なんだ?この店では客に使い古し
のおしぼりを渡すのか~?」
ようこは半べそ顔になって、男に謝った。
「そんなこと、ありませーん。それは、新し
いです……」「ナンだとー?客が白と言った
ら、黒いものでも白なんだよー!ねえちゃん、
判ってんのー?」
男は日頃の女の客に対する鬱積が溜まって
いるのか、執拗に、ようこを攻めたてた。
この様子を観かねた栗ママがテーブルにや
って来た。
「あらー?お客さん。申し訳ありません。う
ちの子が粗相をしまして。申し訳ありません
が、これをどうぞ」
ママはフルーツの盛り合わせをテーブルに
置いた。
その様子をにやにや見ていた、もう一人の
干す徒は言った。
「ママ、話せるじゃん。わかればいいんだよ」
干す徒達は一旦は納まったように見えた。
ようこも気を取り直して、干す徒の横に座っ
た。
ミニスカートから、ようこの細っそりした
足が露に伸びていた。
干す徒の手がようこの太ももに何気に伸び
てきた。
ようこは気持ち悪いと思ったが、ここは我
慢と自分に言い聞かせた。
「ようこちゃん。いい足してんね~。俺さー。
こんな足見たことないなー。何時も大根足ば
っかり、相手にしてるからなぁ」
ようこは顔を引きつらせながら言った。
「ありがとうございます。ははは」
男は尚も腿を撫でながら、だんだん、上の
方へ上がってきた。
「ちょっと、お客さん。困ります!」
パンティー近くまで、這い上がってきた男
の手を、ようこは跳ね除けた。
それまで、にやけていた男はみるみる、血
相を変えて、怒鳴った。
「なんだとー!これぐらいは、キャバクラで
は当たり前なんじゃーねーのか!何様のつも
りだ!」
男は言いながら、テーブルを蹴飛ばした。
「キャー!」店内に悲鳴がこだました。
その様子を観かねた、観留と信が男達の所
へやってきた。
「お客さん。困りますねー。ここは静かにや
りましょうや」
信は干す徒の肩をポンポンと叩いて、なだ
めた。
「なんだと~?てめーは誰だ?」
干す徒の一人が言った。
「ははは。俺か?俺は檻々組の信いうもんだ」
「なんだと?檻々組だぁ?丁度いい。俺は
Dear風呂組のもんだ。ちょっと、檻々組にご
挨拶せにゃなぁ」
そう言うと、男はいきなり、信の鳩尾に拳
を叩きこんだ。
「うっ」信は一瞬、腹筋に力を入れたが、息
が出来なくなった。
「な、何すんねん?上等だ、表へ出ろ!」
0 件のコメント:
コメントを投稿