2009年9月9日水曜日

極道日記(4)

「な、何すんねん?上等だ、表へ出ろ!」
 観留と信は干す徒の二人を伴って、店を出
た。

 店を出るなり、信は先制攻撃を仕掛けた。 
干す徒の一人の足を払って、一人が転倒し、
勢いでもう一人も転倒した。
 転倒した二人の男へ間髪を入れずに鳩尾へ
足蹴りを喰らわせた。
 男二人はしばらく、呻いていたが、やがて
起き上がると、一人の干す徒が懐から拳銃を
取り出した。
 「ちきしょう。やりやがったな」
 男はよろよろとしながら、拳銃を構えた。
 「おいおい、そんな物、どこから手に入れる
ねん?」
 信は内心、驚いていた。暴力団なら、とも
かくも、少なくとも堅気に見える連中が拳銃
を所持しているとは……。
 「何言ってやがる。こんな物、いくらでもイン
ターネットで簡単に手に入るわな」
 そう言うと、男は銃口を信に向けて、笑っ
ていた。
 パンパンと乾いた音が夜の街に響いた。
 干す徒が信と観留に向けて、銃弾を放った
のだ。
 一発は信の足に当たり、もう一発は観留の
腹部に当たった。
 干す徒達は、銃を放つと一目散に逃げて行
った。
 「くっ!やりやがったな!」
 信は凶弾に倒れた観留の脇に立って、逃げ
行く、干す徒を見ていた。
 「おい、大丈夫か?」
 信は倒れている観留を覗き込んで言った。 
 当たり所が悪かったようで、観留の腹部から
は真っ赤な鮮血が噴出していた。
 観留はガイコツの絵柄のTシャツを着てい
たが、皮肉にも、そのガイコツの口の辺りか
らどくどくと赤い血が吹き上げていた。
 丁度、ガイコツが血反吐を吐いているよう
であった。
 「信、俺はもうダメなようだ。ふふ。バチ当
たりな人生もこれで、終わりやんか……。せ
めて、結婚して、可愛い女房とガキの顔が見
たかったねんなぁ……」
 そう言うと、観留はガクッと頭を垂れた。
 「おい!観留!観留!」
 信は観留を抱きかかえ、叫んだ。
 「バカ野朗!こんな所で死んで、どうすんね
ん!観留!」
 夜の繁華街に信の声が響いた。

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