2009年9月9日水曜日

極道日記(9)

 檻は携帯を取りだし、理恵男に電話をして
みた。・・・やはり、出ない。あれから、数
日経っても、理恵男からの連絡は何も無かっ
た。
 檻々組の事務所でもあるカフェ『オロオロ

には裸婦裸が来て、コーヒーを飲んでいた。
「理恵男の奴、しくじったな?裸婦裸、理恵
男から何も連絡ないか?」
「おやっさん。連絡は何もありません。アパ
ート
にも帰ってないようだし。Dear風呂の奴らに
殺られたか?」
「そうか……。これで、二人目だな」
 普段は沈着冷静な檻の胸に怒りがふつふつ
と込み上がってきた。
 それまで、グラスを磨いていたが、棚に戻
した。テーブルの上を拳でドンと叩き、怒声
を放った。「もう、許せん!全面戦争だ!
Dear風呂組を叩き潰してやる!」「裸婦裸、
みんなを集めろ!これから、作戦会議だ」
    
   ・・・・

 その夜、裸婦裸の招集命令で、檻々組の全
員が『オロオロ』に集まった。
 凶弾に足を撃ちぬかれた信も松葉杖をつい
て、来ていた。
 裸婦裸を囲んで、Dear風呂急襲の作戦会議
が開かれた。
 組員の一人が「作戦なんざー、必要ねえ!
ようは、殺りゃーいいんだよ!殺りゃー」と
喚きちらした。裸婦裸がギロッとその組員を
睨み付けると、組員は縮みあがり、忽ちおと
なしくなった。
 会議中は組員の怒声が渦まいた。しばらく
して、作戦会議は終わった。
「信。作戦について、全員に解かり易いよう
に説明してくれ」裸婦裸はホワイトボードの
横の椅子に座ると、信に命じた。
「へい。了解しやした」
 信はホワイトボードに作戦名を書いた。
「作戦名は『砂漠の中のお風呂』だ。
 この作戦について、説明しようと思う。
 まず、キャバクラ『栗』のママが数名のキ
ャバ嬢を連れて、客として、Dear風呂に入る

 一度、かしらは用助達を連れて、Dear風呂
に行ったんだが、もう、素性はばれているの
で、野郎ではだめだ。そこで、今回は栗ママ
に少し手伝って貰おうと思う。
 Dear風呂に着いた栗ママは干す徒達を引き
付けておく。
 かしら達はDear風呂の外で待機する。栗マ
マは様子を見て、かしら達をDear風呂店内に
導く。
 その後、栗ママはキャバ嬢達を安全な場所
にそっと導いておく。
 その他の客がいた場合は仕方ないな。堅気
の連中には迷惑をかけたくないが、この際、
仕方あるまい。
 Dear風呂店内に入った、かしら達は油断し
ている、干す徒達を片っ端から、撃ち殺す。
 
このとき、間違って、一般人は撃たないでく
ださいよ、かしら。
 そして、最後に美湯ママはかしらが殺る。
 決行は明日の夜だ。9:00にカフェに集合し
てくれ。以上だ」
 信が説明を終えると、カフェ内はシーンと
静まり返った。
「ごくろう」裸婦裸は組員を見回して言った

「いいか、干す徒は一人残らず、殺るんだ。
一人たりとも生きて帰すな!いいな!」
「おー!」
店内に野太い声が響いた。

 会議を終えると、カフェの中は俄かにざわ
ついた。
 武器を用意する組員でごった返していた。
 ナイフは言うに及ばず、日本刀、拳銃、自
動小銃などを用意しだした。
 どうやって、手に入れたのか、中には、ミ
サイルランチャーまで、出てくる始末だ。

 

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