釜美の奇襲に失敗した鯛弐組のチンピラ達
は鯛弐礼子に報告した。
「お嬢。申し訳ありません。この体たらくで
す」と釜美に折られた腕のギプスを見せた。
「だらしないわね。それで、逃げ帰って来た
って訳?」
「お嬢、それが、あのアマ、強いのなんのっ
て。まともに太刀打ち出来やせん
ぜ」
「釜美は合気道をやるらしいけど、本当
のようね。わかったわ。作戦を変えましょう
」
礼子は栗子に携帯で電話した。
「あ、栗子。あたし、礼子。組の者が釜美に
、
けちょんけちょんにやられたけど、このまま
では収まらないわよ」
「ううん。もう、良いの」
「え?何?良いって?ふざけないでよ」
「もう、いいの」
「何言ってるのよ。解かってるの?このまま
では収まらないわよ。栗子も覚悟しなさい」
「え?あたし……」
「組の者がやられて、はい、そうですかと、
引き下がる訳にはいかないのよ!栗子にも
手伝って貰うからね!」
そう云って、礼子は電話を切った。
礼子は腹の虫が納まらなかった。
もともと栗子に頼まれて始めた事だったが
、
暴阿組とは因縁の対決だと思っていた。
二日後、礼子は、一人で栗子の家の玄関の
前に立っていた。
「ピンポーン」
玄関のチャイムを鳴らすと、栗子の母が出
てきた。
「栗子さんいますか?」と云うと「栗子~。
お友達よ~」という栗子の母の声がして、栗
子が玄関口までやって来た。
栗子は礼子を見て、嫌な顔をしていた。
「栗子。ちょっと、そこまで、顔かして」
渋い顔をしている栗子を近くの喫茶店に誘
い出した。
「いい?釜美を誘い出して、これを飲ませるのよ」
と、薬袋を渡した。
「何?これは?」薬を見て、栗子は不審そう
に聞いた。
「粉状にした、睡眠薬よ。飲ませた後はあた
し達に任せればいいわ」
「いや!」っと栗子は薬を投げ出した。
礼子は薬を拾うと、「ばしっ」と栗子の頬
を叩いた。
「ふざけるんじゃ無いよ!わかってんの?も
う、後には引けないんだよ!」
礼子が凄むと、栗子は叩かれた頬を左手で
抑えて、小さくなった。
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