第三章 手打ち
檻々組、Dear風呂組の抗争は、両者に多大
な犠牲と損失をもたらした。
檻は、疲弊した組の建て直しを計るため、
一旦、手打ちをすることに決めた。
「さて、手打ちと言っても、こちらから、折
れる訳にはいかねーな。そこでだ、釜美。
ここは、ひとつ、親善大使となって、Dear風
呂に行ってくれ」
釜美はDear風呂と手打ちをする事が不満だ
った。
「おまえさん。本当に手打ちをするのかい?
あたしは、手打ちなんて嫌だね。手打ちをす
る位なら、死んだほうがマシだわ」
釜美の言葉に、それまで、柔和だった檻は
みるみる表情を歪め、言った。
「なんだと!俺の指図に従えねーってのか?
」
檻の怒気を含んだ言葉に釜美はすくんだ。
「わかったわよ。やりゃいいーんでしょ。や
りゃ」
釜美はしぶしぶ、親善大使の役目を引き受
けた。
ふと、破門になった裸婦裸の事を思いだし
た。
この事を裸婦裸に教えれば、きっと、一波
乱、起こしてくれるものと期待した。
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