2009年9月23日水曜日

霊感修学旅行(7)

 私達は、和室の外の様子を恐る恐る、見ま
した。
 石田三成軍は内堀のすぐ近くまで来ている
様子です。
「ここは、伏見城の本丸だわ!」こんな事態
なのに、歴史おたくの夏子は目を爛々と輝か
せて喋りだしました。
「伏見城は豊臣秀吉が築いた、巨郭よ。その
守りは堅固で、難攻不落の城なのよ。
 城を守るのは鳥居元忠。その兵力、僅かに
千八百人。対する石田三成軍は総勢四万人よ。
その結果は火を見るより明らかだわ。
 でも、元忠はここを10日以上も持ち支え
たのよ。
 敵は外ばかりではなく、内部にもいたの。
それが、伏見城内にいた甲賀衆よ。
 甲賀衆は外に残して来た妻子を捕らえられ、
内通しなければ、妻子を皆殺しにすると、脅
されたのよ。
 内通した甲賀衆は伏見城内に火事を起こし
たの。
 その為、伏見城の戦いによって、お城はそ
の大半を消失しているわ」
 夏子が一挙に喋ると、みんなは、ふんふん
と頷いているが、それどころじゃない。
「そんなの聴いている場合じゃないわ。私達
の命が危ないのよ。早くここを脱出しなきゃ、
焼け死ぬか、鎧武者に切り殺されるわ!」
「そうね。早く逃げましょう」夏子は現実を、
やっと認識したようです。
 城壁の外の騒がしさに比べて、城内はやけ
に静かでした。
 周りを見回しても、火の手が上がっている
のに、人っ子一人いません。
「これは、きっと、鳥居元忠以下の家臣は大
広間に集まっているに違いないわ」
 夏子は深刻な表情でいいました。
「え?!それじゃー、自殺の為に……」
 私の脳裏に、あの血天井の夥しい血の跡が
蘇えりました。
 とんでも無い場面に遭遇したものです。
 四人とも、一様に膝が、がくがくと震えて
います。
 と、そこへ、どやどやと、三~四人の武者
が私達の方へ駆けて来ました。
「お主達は何者だ!おのれ!裏切り者の甲賀
衆か!?」先頭の男が言いました。
「ち、違います!」私が言っても、その男は
聞く耳を持ちません。目が血走っています。
「この女子共をひっ捕らえよ!大広間に連れ
ていくのだ!」男の言いなりに、私達は大広
間へ連れて行かれました。
 大広間に着いてみると、そこには夥しい人
数の城内の侍達が集まっていました。その数
は、約三百名程。中には女子供も何人かいま
す。
 昨夜見た、総大将の鳥居元忠以下、家臣の
大将達が上座に並んで、甲冑のまま、椅子に
座っています。
(やばい!非常にやばい!これは、今まさに、
自刃しようとする直前の現場だわ!)
 みんなも同じ気持ちか、皆それぞれ、その
目は怯えています。
 
 
             つづく

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