2009年9月9日水曜日

たっくんの完全なる飼育(4)

 睡眠薬が良く効くように、ワインも用意し
た。

「はーい。お待たせー」
 料理をテーブルへ運んで、竹部を呼んだ。
「うわー。こんなに……。おいしそうだ」
 竹部はテーブルの椅子に座ると、運ばれて
来た、料理を見て、嬉しそうに言った。
「こんなに、およばれして、本当にいいんで
すか?」
「いいの。いいの。さ、冷めない内に、その
シチューも食べて」
 睡眠薬入りのシチューを竹部に勧めた。
 竹部は、シチューをスプーンですくって、
口へ運んだ。
 あたしは、竹部がシチューを飲むのを固唾
を飲んで、見守った。
「おいしくないでしょ?あたし、料理、下手
だから」
「そんなことないよ。おいしいよ」
「嬉しい。ささ、ワインもどうぞ」
 ワイングラスにワインを注いで、竹部に渡
した。
 竹部はワインを受け取った。
「良いんですか?お酒まで。ようこさんは飲
まないんですか?」
「あたしはいいの。あたしが飲んじゃったら、
君を家に帰せないでしょ」
 竹部は感激したように言った。
「ええ?帰りも車で、家まで送って貰えるん
ですか?」
 あたしは笑いながら「ええ。そうよ」と言
った。
 心の中では『あなたは、もう自分の家に帰
る事は無いのよ。永久にね……』と言いなが
ら。
「さ、もっと飲んで」
 ワインを2杯、3杯と、竹部に勧めた。
 竹部の目がとろーんとしてきた。
「ふぁー。僕、酔ったのかな?なんだか、急
に眠くなってきちゃった」
「あらあら、困ったわね。こんな所で寝たら、
風邪引くわよ。
ちょっと、こっちのソファーで休んだら?」
 あたしが、そう言うと、竹部はソファーへ
行き、そのまま、寝入ってしまった。
 睡眠薬が効いたようだ。
 竹部の腕を取って、用意しておいた手錠を
かけた。そして、両足を麻縄で縛った。
 手錠と足縄をかけられて、寝ている竹部に
毛布をかけてあげた。
 すやすやと寝ている竹部をしみじみと覗い
た。
 これで、あたしのペットが、漸く手に入
ったと思った。
 成功裡に事を運んだ疲れが、どっと出たの
か、あたしも急に眠くなった。
 テーブルの上の片付けはしないで、そのま
まベッドへ行って眠った。

 翌朝、目が覚めて、ソファーを視ると、竹
部はまだ寝ていた。
『今日から、ご飯も二人分、作らなくちゃ』
と思いながら、昨日のままの状態のテーブル
を片付け、朝食の用意をした。
 朝食の支度も済んだので、竹部を起こしに
かかった。
「ねー。起きて。朝よ。起きて」
 竹部はなかなか、起きない。
 ぺちぺちと、頬を叩いてみた。
「うーーん」
 やっと、起きたようだ。
「あれ?どうしたんだ?」
 竹部は目が覚めたが、自分が置かれている
状況をよく理解していないようだ。
「あれ?何で手錠なんか?あれ?足が動かな
いぞ?」
「ふふふ。おはよう」
 あたしは、含み笑いをして、竹部を覗き込
んだ。
「あっ。ようこさん、ちょっと。これ何です?
悪い冗談は止めてくださいよ」
 竹部は苦笑いをして言った。
「あら?冗談なんかじゃ、無くってよ」
 あたしは、笑いながら言った。
「あなたは今日から、あたしのペットよ」
 竹部の表情から、笑いが消えた。
「悪い冗談も程ほどにしろよ!早くこの足の
縄と手錠をはずせ!」と、大きな声で怒鳴っ
た。
「あなた、状況がわかって無いようね。そん
な大きな声を出して……。悪い子にはこうし
くちゃね」
 竹部の口をこじ開け、ハンカチをねじ込ん
で、タオルで猿轡をしてあげた。
 これで、静かになったが、これでは、朝食
が食べられないなと思った。
 通販で買った、スタンガンを用意して、竹
部の顔に近づけ、顔の前でバチバチとやって
見せた。
「これ、何だか、解る?スタンガンよ。言う
ことを効かない、悪い子はお仕置きをします」
そう言うと、威力を弱めて、腕にバチバチと
やった。
「ふーーーっ!」
 竹部は驚きと苦痛の形相で喚いたが、猿轡
のおかげで、大きな声は出なかった。
「わかった?おとなしくしてれば、猿轡と足
の縄を解いてあげるわ」
 竹部はがくがくと頭を縦に振って、頷いた。
 

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